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◆
『違うっ! そうじゃないっ! 瞬時にイメージして!』
容赦のない怒声が響く。
深夜の山の中。
かれこれ長い時間、僕は瀬山さんに再構築の訓練を受けていた。
一度構築したモノをまったくの別モノに作り替える、これがどうしても出来ない。
やり方を口で説明されたが、まったくもってピンとこない。
____イメージするんだ、
____構築の済んだ物を次は何に作りかえたいのか、
____強く、強く思い描くの、
手練れの霊媒師はたったこれだけの説明で再構築が出来るのか?
否、いくらなんでも無理だろう。
だって言ってた。
”瀬山の家で再構築が出来る霊媒師は一人もいなかった”と。
日本で一番チカラを持っている、瀬山の霊媒師でさえ出来ないんだ。
それなのに、僕みたいな駆け出しがすぐに出来るようになるとは思えない。
でもね、そんな事は百も承知。
それでも意地でも習得したい。
大福を守りたい、大事な人を守りたい、あわよくば自分自身も守りたい。
『だからっ! キミはこの霊矢をどうしたいの!?』
訓練中の瀬山さんは鬼だった。
ほんわりとした話し方がウソのように語気が強い。
だけどそんな事気にする余裕が僕にない。
「拘束具にしたい! さっき瀬山さんがそうしたみたいに、網でグルグル巻きにして動けないようにしたいんだ!」
『じゃあイメージして! キミは二回も縛られたじゃない! それを思い出して! 網はどうなってた? 身体に食い込み指一本動かせなかっただろう? 頭の中にそれを浮かべて!』
「そんなのとっくに浮かべてます! なのに変化してくれないんだ!」
距離を取った向かい合わせ、瀬山さんの足元には僕の霊矢が地に刺さる。
それに向かって放電し、僕と霊矢は接続済だ。
あとは霊矢をどう変化させたいのか、強くイメージすれば再構築が始まると言うのだが、焦る気持ちと裏腹に再構築は一向に始まらない。
クソッ! 瀬山さんを網で巻いてミノムシにしてやりたいのに!
『泣き言は後で聞く! ”変化してくれない”じゃない! 変化させるんだよっ!』
どこかで聞いた言い回しだ……と思ったものの、考えてる余裕はない。
「瀬山さん、ちょっと待って! もう一回だけ説明してください! やり方は聞いたけど、頭でそれが理解出来ない、理解出来ないやり方を手探りでやってみたって成果は出ない! 理解力の無い僕にもう一回説明をお願いします!」
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