第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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今の瀬山さんは鬼だ。 こんなお願いをした所で『何度も同じ事を言わせないで!』と突っぱねられるかもしれないぞ、と思っていたのに。 『……わかった、ちゃんと説明する』 意外にもアッサリと承諾してくれたのだ。 …… ………… 最初の説明は随分と雑なモノだった。 二度目の説明は噛み砕き、僕にもわかるようにしてくれた……が、聞けば聞くほど気持ちがへこみ自信を無くす。 一度目の説明で、再構築のコツは”強くイメージするんだ”、これしか言わなかったから、もっと単純作業だと思ってた。 言葉が少ないのは、ジャッキーさんが言ってたように、”出来る人の説明は素人には難しい”、そんな類だと思ってたのに。 イメージするに違いはない。 だけどそれだけじゃない、それじゃあ足りない。 なぜ瀬山さんは、この部分の説明を省いたのだろう? むしろこちらが重要なのに……って、聞いても出来る気がしないけど。 それでも努力はする、習得のために頑張るけど、今日の明日で仕上げるなんて無理すぎる。 『……そう言うと思った。昔、瀬山の霊媒師達もね、やり方を教えた後、みんな揃って尻込みしてた。だからあえて詳しく説明しなかったの。……岡村さんも自分には出来ないって思うかい? 大丈夫、他の誰が出来なくても、キミなら出来るんだ。だって、キミは良くも悪くも”希少の子”だから。変に気負ってほしくなくてぼかしたけど……ちゃんと説明するよ。さあ、よく聞いて、そして霊力(ちから)を引き出して、』
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