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手短だが濃い話をガッツリ聞いた。
良くも悪くも希少の子、なるほど、霊力の使い方がまるで違う。
”イメージするんだ”という漠然とした説明ではわからなかった事が、今ならスルリと理解できる。
こんな事なら最初から説明してくれたら良かったのに、僕が瀬山さんにそういうと、『……ああ、そうだね』と黙り、それ以上話は広がらなかった。
まだ……なにか話して無い事があるのだろうか?
僕がそこに食い下がるも、術の習得が先だろう? と逃げられてしまった。
いいや、後で、悪霊達をすべて滅したら、改めて聞いてみよう。
とにかく。
再構築は不可能だとへこみ自信をなくしていたけど、僕は俄然やる気を取り戻し、鬼の師匠に必死に教えを乞うたんだ。
それから____
訓練は僕が意識を失いぶっ倒れるまで続いたのだが、どうやらそのまま寝かされていたらしい。
そして空が白む夜明け、眠らない瀬山さんに起こされた。
『平ちゃんが待ってる、行こう』
はい、と返事をし、ふらつきながら立ち上がる。
全身が痛い、身体がバキバキだ。
僕は自分自身に癒しの霊力を使い、そして瀬山さんを視た。
彼は僕に向かって微笑むと、タンと小さく足を鳴らす。
直後、緩やかな山肌が消失し、代わり、終わりの視えない平地が広がって……
驚きで声が出なかった。
なにがどうしてこうなるのか、地形までも変えてしまうのか、それとも此処は瀬山さんの、もしくは悪霊達のフィールドなのか。
それを問うため息を吸うも、瀬山さんは黙ったまま前を向き地を進む。
「待って、」
僕は慌てて、聞きたいことは後回しに、薄い背中を追いかけたのだ。
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