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◆
テクテクテクテク。
瀬山さんと大福と僕は、だだっ広い平地を歩いていた。
地面は土と草、それとうっそうとした大木が。
そうね、明け方までいた、緩やかな山の地をそのまま平たくした感じの場所。
人なんて一人もいない。
だが空はある、陽の光で明るいし。
でもな、雲や鳥は見当たらない。
ココ、どこなんだろう?
山の中とは思えない。
やっぱり霊の持つフィールドなのかな。
前に……ユリちゃんのお母さん、貴子さんに初めて会った時、アパートの中にいたはずが、いつの間にやらだだっ広い、暗くて冷たい場所にいた。
マジョリカさんの現場でもそうだった。
ジャッキーさんのオウチのリビングにいたはずが、似てるけど別の空間に立っていたて、そこで偽ジャッキーと戦ったんだ。
それと……同じなのかな?
まぁ、おそらくそうだろうけど、今回めちゃくちゃ広くない?
地の果てがまるで視えない。
歩き始めて10分経つか経たないか。
目線の先に、若い男性が両手をぶんぶん振っているのが視えた。
『ショウちゃーん! 岡村くーん! 大福ちゃーん! コッチコッチー!』
容姿は視慣れないけど先代だ。
墨の色の短髪に、鋭い目付き、薄めの唇はクールなのに、仕草はいつものプリティ系。
僕達が来た事が嬉しいのか、ピョンピョンその場を跳ねている。
『平ちゃーん! お待たせー! 岡村さん、すごく頑張ったんだよー! いっぱい褒めてあげてー!』
やだ!
褒めてあげてだなんてー!
瀬山さん、僕が褒められて伸びるタイプだと気が付いちゃったのかな?
ふふふ、嬉しいぃ!
『そうなのー? 岡村君、頑張ったんだぁ! えらかったねぇ! いっぱい褒めてあげるから早くおいでぇ!』
視た目はすこぶるクール男子だけど、話し方はいつもの先代。
もう……会いたかった、めちゃくちゃ会いたかったー!
「先代ーーー! 今! すぐっ! 行きまーす!」
『にゃにゃにゃーーーーーん!』
僕と大福はほぼほぼ一緒に走り出した。
先代まで目測たぶん50メートル、歩いて行くのがもどかしい。
早くワシャワシャ撫ぜられたいと、中年にあるまじきコトを思いながらダッシュした。
大好きな先代に近くなる、あと少しで辿り着く、と思った数メートル手前。
両手を広げて僕を待つ先代の後ろに、おかしなモノを視た。
なにアレ……?
早く胸に飛び込みたい(まるで恋人だな)、と思うのに、後ろが気になって仕方がない。
最初はね、先代の後ろはやけに霧が濃いなと思ったんだ。
霊の為の霊による霊が作るこのフィールドは、天候にも恵まれ空は明るい。
湿度も低くて過ごしやすいにも関わらず、なぜに霧が発生するのか。
しかも先代の後ろだけ。
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