第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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____調子に乗るなよぉぉぉ! こんな結界で俺達を閉じ込めやがってぇぇぇ! そっちに行ってやるからなぁぁぁ! 今すぐ八つ裂きにしてやるからなぁぁぁ!____ と、地を這うような大声が、突如割り込み僕と先代の会話を止めた。 先代はやれやれといった顔、瀬山さんは無表情、天使すぎる大福は結界にオシリを向けて、ザッザッザッと砂をかける仕草をしていた。 そして僕はと言うと。 サーーーーーーー めっちゃ青ざめていた。 え……こっちに来れるの? しかも今すぐ? でもって八つ裂きにする気満々? ウソでしょ? 来れないでしょ? だって結界あるじゃなーい! 「せ、先代! あ、あんなコト言ってますけど! 結界あるからコッチに来れないですよねぇ! 先代と瀬山さん、パネっすよねぇ! あの霧、鉄壁ですよねぇ!」 あばばばばば! テンパリまくりの僕は、縋る勢いで先代に聞いてみた。 『落ち着いて、あの結界は悪いモノを通しませんよ。無理に通れば浄化されて飛散するもの。大丈夫、安心しなさい』 姿はすこぶる若いけど、いつもの口調でそう言われると僕は心底ホッとした。 「はぁぁぁぁぁぁ……良かったぁ……」 『ふふふ、安心しましたか? でもねぇ、そうは言っても、』 言いかけた先代、だが続きはまたもザラついた声に邪魔された。 ____クッソォォォッッッ!! 馬鹿にしやがってぇぇぇっ!! 結界を解けぇぇぇぇっ!! 今すぐ結界をぉぉぉぉ!! 馬鹿にするなぁぁぁぁ!!____ ちょ……なに……? ザラつく声は割れる程の大声をあげている。 そりゃあ閉じ込められてご立腹とは思うけど……叫び方が尋常じゃないよ。 「先代……」 『困ったものですねぇ……』 はぁ、とため息をついた先代。 その背中には、壁の向こうからたくさんの霊矢が放たれる。 さっきはテンパっててわからなかったけど、僕を襲った黒いモノもアレと同じ霊矢だったのかもしれない。 背中では数多の霊矢が霧となって飛散して、 振り返りもしない先代は、二度目のため息をついた。 ____ふざけるなぁぁぁっ!! こっちを向けぇぇぇっ!! 結界を解けぇぇぇっ!! お前から八つ裂きにしてやるからなぁぁぁっ!! 偉そうにしやがってぇぇぇっ!! 昔から気に食わなかったんだぁぁぁっ!!____ ………………え? 昔から………………? どういう意、 ____忘れてないぞぉぉぉっ!! お前は俺に恥をかかせたんだぁぁぁっ!! みんなの前でぇぇぇっ!! ”俺に話しかけるな”とぉぉぉ! ”おまえは持っていないだろう”とぉぉぉ! ”時間を無駄にしたくない”とぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 持丸ぅぅぅぅぅぅっ!!!!____ モチマル……? ”持丸”って先代の事だ。 それに今言ってたのって……瀬山さんから聞いた先代の話と同じだ。 結界の向こうにいる悪霊って……
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