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瀬山さんは僕のすぐ後ろにいる。
顔は視えないけど、嫌な気持ちだろうな。
昔の話は少しは聞いていたけれど、瀬山さんに向けられる悪意。
それを目の当たりにした僕はショックを受けた。
生きていた頃からずっとこんな扱いで、蔑ろにされ、なのに霊力だけはあてにされてさ。
どこよりも危険な場所に、誰よりも先に立ってくれる瀬山さんに、あなた達も助けてもらった事があるだろう?
なのにどうしてそんな事が言えるんだ……!
ニヤついた下衆顔の、瀬山の霊媒師の一人が前に出た。
先代と瀬山さんを順に視る。
僕の事は完全スルーだ。
『久しぶりじゃあないか。持丸、それから……”心中”さん。昨日はいきなりやってきて、結界で俺達を閉じ込めた。旧友に対する態度じゃない。無礼極まりない』
無礼はどっちだ……!
僕は拳を握りしめ、だが先代も瀬山さんも黙ったまま聞いていた。
『”心中”さんは黄泉の国で女とよろしくやってるのかい? いいご身分だ。伝説の霊媒師なんて呼ばれていたが、今はどうなんでしょうねぇ? 女と暮らして腑抜けになったんじゃないんですかぁ? はははははは! ははは……はは…………なんだよ、その顔。文句があるのか? ”心中”は知らないだろうがな、お前がくたばった後、死体を片付けたのはこの俺なんだ。感謝されても良いくらいだ。ご丁寧に心中現場の桜の下で死んでたのを足で蹴って端に寄せてやったんだ!』
この男……!
瀬山さんのご遺体を足で蹴った?
本当にそんな事を?
非道だ……あまりに非道。
この話で一斉に笑い出す瀬山の霊媒師達はなんなんだ……!
狂ってる、どうかしてる、なんでまだ笑ってるんだ。
おかしいところは一つもないのに。
これを瀬山さんが、先代がどんな気持ちで聞いているのか……!
許せない……こんなの絶対に許せない……!
『邪魔にならないように端に寄せた後は”瀬山の後処理班”が来たんだ。それで”心中”さんの死体はどこか遠、』
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
突如視界が赤くなった、
怒りが頂点に達し、
僕は僕の制御が出来なかった、
伸ばした指先、
そこから放った真っ赤な霊矢は、
男の肩をぶち抜いていた。
『アガァァァァァァッ!!』
肩を押さえてのたうちまわる男、僕はそれを冷めた目で視つめていた。
心が重くて辛くて苦しくて悔しくて、絶対に許さないと思った。
今ここで瀬山さんを笑った奴ら、全員僕が滅してやる……!
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