第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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『んもー大丈夫、死にゃあしません。さっき(おさ)が言ってたでしょう? ”生者の男は傷付けるな”って。(おさ)(めい)は彼らにとって絶対だ。キミを死なせたり酷いケガはさせないでしょう』 あ……そういえば言ってたな。 『そうだよ、父はね岡村さんの身体を乗っ取る気だからね。ある意味安全が保障されてるようなものだよ』 あ、うん。 瀬山さんのお父さん、僕を乗っ取る気満々だった。 てか(こえ)ぇぇぇぇぇぇ!   『うなぁ、うなななななな。にゃふ』 え、大福がいないと僕は何も出来ない? ひ、否定しきれない……でもね、物騒なオジサンがいっぱいいるからさ。 僕よりぜんぜん強い子だけど、それでも心配なんだ。 『とにかく、』 クシャッと僕の頭を撫ぜる瀬山さんが言った。 『怖いかもしれないけど、まずは一人でやってみなさい。彼らは岡村さんを死に追いやるまでは出来ない。だが押さえ込み拘束しようとはするはずだ。捕まれば父に乗っ取られる。そうなれば魂は喰われキミという存在はなくなってしまうんだ。そうはなりたくないだろう? だったら戦って滅するしかないよ。私と平ちゃんは一旦引くけど、本当に危ない時は加勢するから安心しなさい。それとね、大ちゃんはキミがダメだと言ってもついてくる、諦めるしかないと思うよ』 ふふ、と困ったように笑う瀬山さんは、虎の子サイズになった猫又もワシワシと撫ぜていた。 そか、うん、そうだよね。 ダメと言っても大福は一緒にいるって言うよね。 だとすれば覚悟を決めて戦うしかない。 大福が手を出さなくても良いくらい気合いを入れて。 で、でもさ、戦う前に……一つだけ引っ掛かる事があるんだ。 「でも、でもさ、あの人達、僕を死なせられないんだよね。なのに僕は滅しにいくって心苦しいというか、ちょっとズルいというか、悪いような気になっちゃう、」
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