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目の赤い瀬山さんの懇願だ。
”一人で行かせる訳にはいかない”
その言葉に先代も大きく頷いている。
僕は恵まれているな。
この優しさは当たり前じゃあない。
元は知らない者同士、奇跡みたいな優しさだ。
先代も瀬山さんも、おくりびのみんなも大福も。
僕なんかを大事に想ってくれる。
一人じゃない、僕は____
「瀬山さん、先代。ひとつお願いがあります。そうならないように頑張るけど、もしも万が一、僕が乗っ取られてしまったら。魂を喰われて僕が僕でなくなってしまったら。その時は、ふたりが僕を消してください。僕の身体で悪い事なんかさせたくないし、それに……身体は僕で中身は長なんてキモチワルイもん。
ん? まだ言ってるって? あはは、頑固でゴメンナサイ。怒らないで、そんな顔しないで、大丈夫、だって僕は1人じゃない。そもそも僕は気が弱いんだ。1人じゃ怖くて行けないよ」
____ドクンッ!
その時、僕の胸が大きく鳴った。
嫌な感じはまるでしない。
それどころか昂って、漲って、霊力が溢れて止まらない。
____ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!
____ドクドクドクドクドクドクドクドクドクッ!
心臓の音は更にデカクなり、僕のと、僕じゃないのと、まぜこぜに重なって、身体の芯から熱くなる。
長相手に僕1人じゃ勝てない、か。
あははは、ごもっとも。
先代達の言う通りだ。
じゃあさ、1人でダメなら2人なら? 3人なら? 4人なら? 5人なら? 6人なら? 7人なら? ………………もっともっとなら?
「1人で行くなんてカッコつけたけど……ごめんなさい、ウソです、本当のコト言います。
安心してください。今の僕には総勢27人、すごい手練れが味方に付いてる。怖いはずがない、負けるはずがない。だってさ、”日本で一番の霊能軍団”、瀬山の霊媒師達と一緒に戦うんだから!」
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