第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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「ありがとうございます、理解しました。だけど厄介ですね。喰われたら一発アウトだ。ねぇ中村さん、喰われてから破壊が始まるまでの時間ってどのくらいなんです? それがわかれば、その間に助け出す事が出来るかなぁって」 『時間か。僅かでも時間があればいいんだが……無いんだ。喰われたら即、破壊が始まる。そうしないと(おさ)自身も危険だからな』 眉間に皺を寄せて首を振る。 中村さんは『やはり難しいか……』と独り言ちた。 それを聞いた(かける)君は、膝を抱えて唇を噛んでいる。 思いつめた顔をして目はもう真っ赤だ。 ああ……ダメ……僕はあの目に弱いのよ。 タイプはぜんぜん違うけど、年下というだけで(らん)さんを思い出す。 (おさ)は魂を喰うと即座に破壊を始める。 破壊が終われば魂はただの燃料になる。 (おさ)霊力(ちから)となり、霊体(からだ)を構築したり、攻撃したりが出来るんだ。 どうしたらいいんだろう。 喰われれば即アウト。 これをどうにかしないと、戦いを挑んだはいいが逃げる事しか出来ない。 しかも……(おさ)は喰らうのが早い。 さっき一人喰らってたけど、あれは”喰らう”じゃなく”吸ってた”だ。 パワフルな掃除機バリにあっという間に呑み込んでたもの。 多少の距離があっても問題無いのもヤバイ。 捕食のスキルって本当に厄介だよ。 あぁぁ、社長のソウルアーマーがあったらなぁ。 そしたらさ、喰われてもさ、破壊されないかもしれないのに。 それかね、前にジャッキーさんから聞いたヤツ。 なんだっけ? 黄泉の国の調査隊がさ、マザスターの調査に行く時に着るヤツでさ、星に吸収されないように身を守るさ…………んー、あ、思い出した。 シールドスーツだ。 そういうなぁ、ステキ装備があったら良かったなぁ。 そしたら怖くないのに、喰われるの上等! とか言えるのに。 ソウルアーマー、シールドスーツ。 全身覆う完全防備。 包み込んで守ってくれて、そうだついでに修復もしてくれる。 そういうものがあればなぁ……あれば……あれば…… …… ………… ……………… いや待て、あるじゃん。
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