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それは僕が使える数少ないスキルのひとつ、癒しの言霊だ。
理屈は掠ってるだろ?
対象をすっぽり丸々包むトコとか(そこだけかもしれないが)。
アーマーじゃないけれど、シールドでもないけれど、包み込むのは間違いない、……って、あまりに単純な発想か。
でもいいの、駄目で元々、考えるだけならタダじゃない。
可能性を探るんだ、そう、ココにいるみんなを巻き込んで。
ハイハイハイハイ!
手を上げて、鼻息を荒くして、僕はみんなに言ったんだ。
癒しの霊力を重ねに重ねてみんなを包み、それを防御服みたいに使えないかって。
すると……場が、静まり返った。
みんな揃ってポカンとしてて、その顔を視た僕は一気に汗をかいたんだ。
ヤバ……良い考えだと思ったのは僕だけだった……?
やっぱし、重ねた所で”癒し”で”防御”は出来ないか……ア、アウチ。
僕を視ながら気まずそうな表情で、誰も何も言おうとしない。
そんな居たたまれない空気の中、一人の猛者が声を上げた。
森木さんだ。
『えぇっとー、岡村君。キミの癒しの霊力を防御服代わりにする、ですか……なるほど、はいはいはい。我々の為に考えてくださってありがとうございます、はい。ですが……長の破壊の霊力は、岡村君の想像以上に強烈です。昔、長に逆らった者がいたのですが……その時ね、見せしめの為でしょう。わざと取り込まず、皆の目の前で破壊した事がありました。凄まじかったですよ。とてもじゃないが、癒しの霊力をいくら重ねても防御出来るモノじゃない。ハッキリ言って不可能です……はい』
だんだん声が小さくなって、申し訳なさそうな顔をして、だけど、無理なものは無理なのだと教えてくれた。
そっか……癒しの霊力じゃ、みんなを守る事は不可能なのか。
く……少し落ち込む……だけどそんなの一瞬だ。
だって落ち込んでる暇なんてないもの。
「森木さん、ハッキリ言ってくれてありがとうございます。長の霊力、それほどまでに強烈なんですね。僕、他にいい方法がないかもっと考えてみます。思いついたら言いますから、またジャッジしてください」
切り替えて腕を組んで考える。
なにかいい方法は……なんて唸っていると、今度は翔君が言ったんだ。
『待ってくれ。岡村の今の案、改善の余地はあるけどイケルと思う、発想自体は悪くない。確かに長の霊力は強烈だ、癒しの霊力じゃ防御は出来ない。でもさ、癒しの霊力の本来の目的は修復と回復だろ? たとえば俺が長に喰われたとする。取り込まれれば当然破壊が始まるけど、その時、破壊と同時に癒しの霊力が修復したらどうなる? 破壊の傍から回復させれば、すなわち霊力の相殺になると思わないか?』
霊力の……相殺?
今度は僕がポカンとする。
そんな事、本当に出来るの?
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