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『なぁ、みんなもそう思わないか? 破壊の霊力を修復の霊力で無効化させる。これなら長に喰われずに済むだろ』
興奮気味で力強く、翔君はみんなに向かって声を張った。
手練れ達は顔を見合わせ、ザワついている。
空気は心なしか明るくて、この感じ、相殺案は実現可能と思っていいのか?
だが……中村さんが黙ったままだ。
目を閉じて、渋い顔で考え込んでいる。
ダメ……なのかな?
そんな上手くはいかないのかな?
教官はどんなジャッジをくだすだろう……?
中村さんがなんて言うかドキドキしながら待っていた。
今はまだ黙ったままで……頭の中でシュミレーションしてるのかもしれない。
急かしちゃいけない、待つのみだ……が。
その答えは意外にも早く聞く事が出来た。
『結論から言えば……”霊力の相殺”、この方法で乗り切れる可能性はある、』
おぉっ!!
中村さんの答えに男達がどよめいた。
これで戦える、と熱気が高まる。
だがそれを中村さんが慌てて止めた。
『ああ、待て! あくまで、可能性の話だ、皆落ち着け!
知っての通り、長の霊力は強烈だ。相殺をするのなら、長と同等、またはそれ以上の霊力をぶつけなくてはならない。となると岡村、お前が鍵になる。希少の子とはいえ、まだまだ新人のひよっこに、そこまでの霊力を期待していいのか?』
その問いに、僕は言葉を詰まらせた。
みんな僕に注目する中、一体なんて答えたらいいんだろう?
長と同等、もしくはそれ以上の霊力があるのか。
あったとしてもそれを自由に出せるのか、僕には判断がつかない。
「中村さん……ごめんなさい。それはわからないです。僕は希少の子で、瀬山さんや先代は、その……僕の霊力は相当強いと言ってくれます。だけど僕は未熟で、たとえ霊力が強くても、それを必要な時に必要な分だけ、自分の意思で出せるかといったらわからない。だから自信を持って大丈夫ですと言えないんです」
瞬間的に強くなる時もある。
どうしようもなく腹が立った時とかさ。
でもそれだって毎回じゃない。
僕のせいでみんなを危険にさらすのは絶対ヤダよ。
だから恰好付けずに本当の事を言ったんだ。
『そうか……霊力があっても、それをコントロール出来なければ相殺は不可能だ。霊力で負けれは、即破壊が始まる。そうなれば長に益を与えるだけ……残念だ、案は悪くないのだがな』
目頭を強く押さえる中村さんが息を吐くと、男達のため息も重なった……が、ただ一人、ため息をつかなかったのが翔君だ。
彼は中村さんを正面に、必死になって訴えた。
『それならさ、瀬山さんに霊力を借りようよ! あの人は長の息子だし希少の子、そのくらい余裕で持ってるだろ! 瀬山さんの霊力と岡村の癒しの術があれば何とかなるんじゃないか? なぁ中村さん! そうだろ!? イケルだろ!? 瀬山さんに頼もうよ!』
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