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『岡村……今なんと言った……? その珠が彰司さんの霊力だと言ったのか?』
唖然たる顔をして、中村さんが僕に聞く。
「そうです。この珠は、瀬山さんの霊力を僕の霊力で繋いで丸め、更に強度を増す為に、猫又の妖力を練り込んでいます」
『猫又とは其処で寝てる三尾の事か。……岡村は何故そんな物を持っている……』
「ああ、それはアレですよ。言ったでしょう? 僕は霊視が出来ないって。視えない代わりに地道にコツコツ。この珠を使い瀬山さんの霊力を追ってきたんだ。おかげでどうにかこうにか山まで来れた。
それで……どうでしょう? この珠があれば相殺出来ますか? 瀬山さんの霊力に余計な霊力も混ざってるけど大丈夫ですかね?」
この珠。
原材料は100パーセント瀬山さんです!
と、言えれば良いけど、なんてったって僕と猫が混ざってる。
そこがちょっと心配だ。
きっとまた、中村さんは渋い顔で考え込むと思っていたのに。
『ばっ……! いや、失礼、……余計な物だって? そんな訳ないだろう! 希少の霊力が2人分、それに加えて三尾の妖力まで混ざってるんだ! これがあれば破壊の霊力を相殺出来る! 喰われる事を恐れなくていい!』
叫ぶようにこう言ったんだ。
途端、野太い歓声が上がった。
みんなは地面を足で鳴らし、次々武器を構築し、今にも飛び出していきそうだ。
その中でも特に翔君は大変だった。
ぱぁぁぁぁぁっと顔を輝かせ、あちこち苦内を飛ばしてる……って、ちょ! 危ないから!
それからみんな、急ピッチで準備したんだ。
まず最初に手をつけたのは、マーブル模様の霊力の珠を大福先生の口に放り込む事だった。
「大福、この珠を28個に分けてくれる?」
僕がそうお願いすると、虎の子サイズの猫又は『うな、』と頷きパクッと食べて、豪快に噛み砕く。
で、充分噛んだその後は、ゴクッと飲み込みキッカリ10秒。
大福は下を向き、ケポ、ケポ……ケポケポケポ……んげーと吐き出した。
地面を視れば、マーブル模様の小さな珠が28個。
キラキラと輝き瞬きながら小山を作っていた。
さすがは大福、良い感じにわけてくれた。
あとはコレをみんなに配って……
「みなさーん! お待たせしましたー! 相殺の為の第一歩! まずは1人1個ずつ! 霊力の珠を飲み込んでもらいまーす! さぁ! お薬の時間でーす!」
僕がふざけてそう言うと、あらやだ、みんな素直すぎ。
男達は縦一列に、いそいそと並び始めたのだ。
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