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____ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!
____ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!
槍でこさえた空間は、男達の心臓の音で溢れていた。
命を持たぬ27人……その心臓が動くはずがない、刻むはずもない。
だが確かに、冷たい胸は強い音を響かる。
重なる音が鼓膜を揺すり、中で延々跳ねている……不思議な事にうるさくは感じない。
それどころか心地好いとさえ感じていた。
……
…………
………………
少しの時間が経過して、心音だけが響いていたのが、そのうちみんなが騒ぎ出した。
『えぇっとー、なんだか胸がドキドキします、はい』
『な、なんだこりゃあ……俺は岡村に恋でもしたのか……?』
『懐かしい感覚だ……生きてた頃、よくこうして動機がしてた』
『岡村、俺、燃えてるのかな! 心臓がドッキドキだ!』
霊力の珠を(小粒版)飲み込んだ男達。
少しすると彼らは全員、胸に手をやり高鳴る鼓動に戸惑っていた。
なんでこんなにドキドキするんだ? と聞かれたけれど、僕にも理由がわからない。
代わり、同じように胸に手をやる中村さんが、それに答えてくれた。
『おそらく副作用だ。我々のような凡霊が、欠片と言えども凄い霊力を飲み込んだのだ。霊体がびっくりしたのだろう。だが心配ない、時期に慣れる。慣れれば音は静まるはずだ。激しく感情が昂りでもしない限り、通常に戻るだろう』
そ、そか、良かった。
副作用と最初に聞いてビビったけれど、問題ないなら安心したよ。
飲み込んでもらったのは、うっかり失くさないよう、確実に持っていてほしかったんだ。
ジャッキーさんの魂に、光る道の欠片が癒着するみたいにね。
大福が分けてくれた28個の霊力の珠は、僕の分だけ少し大きい。
みんなの珠は小豆くらいの大きさだけど、僕のは花豆に近いかな。
その花豆を斜めに咥えた大福がガブリ、これで小さな穴を開け、僕の霊力で作った細い霊鎖を通してあげたらペンダントに早変わりだ。
生者の僕は霊力を飲んでも魂に癒着しない。
(どういう仕組みか知らないけどそうらしい。ジャッキーさんも黄泉の国にいるうちに飲み込んだ)。
だからこうして失くさないよう首から下げるんだ。
再び、みんなに縦一列で並んでもらった。
増幅の印を先に結び、僕の霊力を引き上げて、そして一人ずつ順番に癒しの霊力で包み込む。
この時、みんなが飲んだ霊力の欠片と、僕が持つ霊力の欠片……その両方から霊力を吸い出し混ぜて使った。
「ふぅ、これで全員ですね。癒しの霊力で包み込めた。この術は、僕がずっと手をかざしてないと解けちゃんんだけど……(ジロジロ)、解けてる人は……(ジロジロ)、いない……かな。うん、大丈夫そうだ」
本当はさ、癒しの言霊を使う時、僕の両手を対象者にあてがってないとダメなんだ。
手を離せば術は終わる。
だけど……どうやらうまくいったみたい。
手を離しても発動してる。
これが……希少の子の霊力の使い方なんだな。
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