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希少の子は他の霊媒師と霊力の使い方が違う。
____だって、キミは良くも悪くも”希少の子”だから、
____ちゃんと説明するよ、
____さあ、よく聞いて、そして霊力を引き出して、
昨日の夜、瀬山さんはそう言って”希少の子独自の霊力の使い方”を教えてくれた。
時間がなくてザックリだけど、それでも少しは理解したんだ。
____強くイメージして、
____倒したい、助けたい、癒したい、
____鎖がほしい、刀がほしい、守る為の武器が欲しい、
____網がほしい、縄がほしい、捕まえる為の道具が欲しい、
____新しく構築したい、再構築がしたい、
____心が拒否をしなければ、強く願えば発動する、
____やり方を知らなくても、初めて使う術だとしても、
____それでも出来るんだ、
____知らない、出来ないと思ってるだけ、
____だって私達希少の子は、
あれ……?
この後……なんて言ったんだっけ。
さっきまで覚えていたはずなのに、そこだけ記憶が抜け落ちた。
おかしいな、なんでだろ、僕は……、
記憶を辿り、瀬山さんがなんて言ったのか思い出そうとした、が、思考は中断された。
目の前に転がるように現れた翔君が、
『岡村、コレ凄いな! 今さ! 試しにさ! 大上さんに俺のコト拳銃で撃ってもらたんだ! そしたらさ! 霊体に一瞬穴が開いて、でもすぐに修復された! 痛くもなんともないんだ! 長の霊力は銃よりもっと凄いだろうけど、瀬山さんと岡村と猫の霊力を飲んだんだ! 絶対に大丈夫! 俺、お前ら信用してる!』
僕の肩をグイッと掴み、大はしゃぎでそう言ったからだ。
すごい喜びようだな。
そっか、癒しの霊力、上手く発動して良かったよ……てか本当に、ガチで、マジで。
僕のせいでみんなが消えるなんて絶っっっ対にイヤダもの。
ははは……だから必死にイメージした。
成功シーンを思い浮かべるだけじゃない。
もっと具体的に、文章で、ラノベのタイトルバリに長々と、
【ホントは両手をかざしてないと霊力は消える、でもそこをなんとか! 手を離しても多少離れても術が発動しっぱなしになりますように! てかそうじゃないと困るから! 『これで戦える!』チョー盛り上がったのにダメでした、テヘ! また考え直しでーす♪ とかガチでイヤダからぁぁぁぁ! どうかひとつ! 手をかざさなくてもガッツリバリバリ発動してくださぁぁぁぁい!!】
とまあ、増幅の印を結んでから必死にイメージ(?)したんだ。
基本僕は気が小さいからね。
自分のせいで自分がヤバくなるのは全然いい、ダメなのは自分のせいで誰かがヤバくなる事だ。
これは精神的に耐えられない、そりゃテラ必死にもなるって話だ。
嬉しそうな翔君を視て安心した。
とりあえず……抜けた記憶を思い出すのはまた今度。
本当はさ、もう一度、瀬山さんに聞いてみようと思ったけど、なんとなく、暫く教えてくれないような気がした。
わからないけど、そう、なんとなくね。
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