第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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希少の子は他の霊媒師と霊力(ちから)の使い方が違う。 ____だって、キミは良くも悪くも”希少の子”だから、 ____ちゃんと説明するよ、 ____さあ、よく聞いて、そして霊力(ちから)を引き出して、 昨日の夜、瀬山さんはそう言って”希少の子独自の霊力(ちから)の使い方”を教えてくれた。 時間がなくてザックリだけど、それでも少しは理解したんだ。 ____強くイメージして、 ____倒したい、助けたい、癒したい、 ____鎖がほしい、刀がほしい、守る為の武器が欲しい、 ____網がほしい、縄がほしい、捕まえる為の道具が欲しい、 ____新しく構築したい、再構築がしたい、 ____心が拒否をしなければ、強く願えば発動する、 ____やり方を知らなくても、初めて使う術だとしても、 ____それでも出来るんだ、 ____知らない、出来ないと思ってるだけ、 ____だって私達希少の子は、 あれ……? この後……なんて言ったんだっけ。 さっきまで覚えていたはずなのに、そこだけ記憶が抜け落ちた。 おかしいな、なんでだろ、僕は……、 記憶を辿り、瀬山さんがなんて言ったのか思い出そうとした、が、思考は中断された。 目の前に転がるように現れた(かける)君が、 『岡村、コレ凄いな! 今さ! 試しにさ! 大上さんに俺のコト拳銃で撃ってもらたんだ! そしたらさ! 霊体(からだ)に一瞬穴が開いて、でもすぐに修復された! 痛くもなんともないんだ! (おさ)霊力(ちから)は銃よりもっと凄いだろうけど、瀬山さんと岡村と猫の霊力(ちから)を飲んだんだ! 絶対に大丈夫! 俺、お前ら信用してる!』 僕の肩をグイッと掴み、大はしゃぎでそう言ったからだ。 すごい喜びようだな。 そっか、癒しの霊力(ちから)、上手く発動して良かったよ……てか本当に、ガチで、マジで。 僕のせいでみんなが消えるなんて絶っっっ対にイヤダもの。 ははは……だから必死にイメージした。 成功シーンを思い浮かべるだけじゃない。 もっと具体的に、文章で、ラノベのタイトルバリに長々と、 【ホントは両手をかざしてないと霊力(ちから)は消える、でもそこをなんとか! 手を離しても多少離れても術が発動しっぱなしになりますように! てかそうじゃないと困るから! 『これで戦える!』チョー盛り上がったのにダメでした、テヘ! また考え直しでーす♪ とかガチでイヤダからぁぁぁぁ! どうかひとつ! 手をかざさなくてもガッツリバリバリ発動してくださぁぁぁぁい!!】 とまあ、増幅の印を結んでから必死にイメージ(?)したんだ。 基本僕は気が小さいからね。 自分のせいで自分がヤバくなるのは全然いい、ダメなのは自分のせいで誰かがヤバくなる事だ。 これは精神的に耐えられない、そりゃテラ必死にもなるって話だ。 嬉しそうな(かける)君を視て安心した。 とりあえず……抜けた記憶を思い出すのはまた今度。 本当はさ、もう一度、瀬山さんに聞いてみようと思ったけど、なんとなく、暫く教えてくれないような気がした。 わからないけど、そう、なんとなくね。
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