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なのに……なのにさぁぁぁぁ!
『えぇっとー、少々無茶な気はしますが、効果は期待出来ますね、はい』
『良いんじゃねぇの? 仮に失敗したって無駄じゃねぇ』
『そうだな、長を道連れに出来るんだ、ちっとも無駄じゃない』
『若い頃を思い出す……俺もよく無茶をしたっけ』
ちょ、ちょ、ちょ、ナニ言ってんの?
爆発だよ?
木っ端微塵だよ?
普通に話す内容じゃないよね?
瀬山の霊媒師って無茶な人が多いの?
みんな無茶で感覚マヒしてんの?
「中村さん! なんとか言ってやってくださいよ!」
最後の砦、僕は教官に助けを求めた。
どうかこのクレイジー野郎共を止めてください!
だが……マヒしてるのはこの人も同じだった。
『翔、やってみるか』
『うん!』
わぁ、今のやりとり、日曜日の親子だよ。
”翔キャッチボールするか”、”うん!” 的な。
騒ぐ僕を笑顔で流し、翔君と中村さんは過激な作戦を詰めていく。
やれ長を挑発して喰われるように持っていけだの、霊体の中に入ったら心臓に近いトコに爆弾を仕掛けろだの、その爆弾は翔の苦内で固定しろだの。
僕は身体を張って止める気で、エイヤッ! の気合いを入れたのだが……
『えぇっとー、岡村君はコッチです、はい』
と森木さん達に捕まった。
総勢25人だ。
日本で一番の霊能軍団、瀬山の手練れ達は僕に大事な事を教えてくれた。
それは、ただでさえ話の長い長だが、さらに長く、気持ちよく喋って頂く方法だった。
「えぇ……そんなの聞かなくていいですよぉ」
どうせ教えてくれるなら、長以外の話がイイです。
そんな希望もあえなく却下、僕と同じ霊矢使いの野崎さんが笑いながら言ったんだ。
『まあ、そう言うな。翔が長に爆弾を仕掛ける間、喋らせとけば時間稼ぎになる。途中でイヤになるだろうが我慢しろ。で、長引かせる方法だが、とにかくショボクレるんだ。落ち込んだ振りとか、なんだったら泣き真似も効果的だ。とにかく長は自分が喋って相手が凹むと喜ぶ。それでごくたまに、ちょっとだけ言い返す。そうすれば延々だ、延々に喋る』
「う、うわぁ……厄介な霊でねすねぇ、性格悪いよ。だってさ、要は相手を追い詰めるのが好きって事でしょう? ……てか一つ聞いてもいいですか? みんな長は凄い霊力を持ってるって言うけど、僕まだ長の霊力を視てないんですよね。視たのは一人喰らったトコだけ。そりゃ捕食スキルも怖いけど……長って本当に強いんですか? 僕には喰って怒鳴って喋ってるだけのお爺さんに視えるんですが、」
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