第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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◆ 上る煙を食い入るように視つめていた。 が、走りに走ってだいぶ距離があるせいで、(おさ)が今、どうなっているのかよく視えない。 だが煙の勢いなら此処からでもわかる。 あれだけの量だ、仕掛けた爆弾は相当な威力だったのだろう。 その爆弾を霊体(からだ)の中で爆発させたんだ。 いくら(おさ)が強くても、これはタダではすまないはずだ。 だってそうだろ? ゼロ距離からの爆弾は避けようがない。 普通の(ひと)なら木端微塵で無に帰る。 さすがに、相手が(おさ)じゃそう簡単にいかないかもだが、深い痛手は負ってるはずだ。 どうなったのか視に行きたい所だけど、それよりも先にやる事がある。 そう、まずは……僕は(かける)君の前に回り込む。 そして頭の先からつま先まで、そりゃあもうジロジロベタベタ、視て触って、全身隈なくしつこいくらいにチェックしたんだ。 「んー…………うん、特に怪我はなさそうだ。はぁぁぁぁぁ、良かったぁぁぁぁぁ……! ねぇ(かける)君、気分はどう? どこか痛いとか気持ち悪いとかない? 吐き気とか眩暈とか、そういうのも大丈夫?」 声を掛ければされるがままの少年は、へへっと笑い嬉しそうな顔をした。 『大丈夫だよ。岡村は心配性なのか? 怪我はしてない、だってお前の霊力(ちから)が守ってくれた。どこも痛くない、気持ち悪くもない。もちろん吐き気も眩暈もない。ん? 気分か? 気分は……はははっ! そりゃあサイコーだよっ! デカイのかましてやったんだ! 俺の爆弾! (アイツ)の中に、ちゃちな(・・・・)苦内(くない)で留めてきたんだ! 視ただろ? 木端微塵だ! やったぜ! ……なぁ、アリガトな。こんな事が出来たのは岡村のおかげだ……あっそうだ! 猫っ! お前もうまいコト岡村を隠してくれてアリガトな!』 ぱぁぁぁっと顔を輝かせ『猫! 猫!』と言いながら、虎の子サイズをワシワシと撫ぜる。 撫ぜられた大福はまんざらでもなさそうに、ふふんと目を閉じ尻尾を振った。 (かける)君、すごく嬉しそうだな。 そんな様子に僕まで嬉しくなってくる。 目線を変えれば、遠くの煙はもうもうと立ち上り、風の無い今、散る事もなくそこに留まり続けていた。 そんな視界の片隅に、猛スピードでこちらに向かって走りくる男が二人。 あれは…… 『岡村君ーーーーっ!』 『岡村さんっ! 大ちゃんっ!』 やん! 大好きな先代と瀬山さんじゃなーい! 2人はすこぶる焦った顔で、僕らの元に到着すると、    『何があったのか説明してちょうだい!』 『今の爆発はなに!?』 から始まり矢継ぎ早に質問された。 んもう、いつもの余裕はどこにいったでありますか。 2人の質問が多すぎて、どれから答えりゃいいのやら。 なので出来るだけ手短に、みんなで話して決めた事を説明したんだ。
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