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急いで説明をした。
時間がないから簡単にだけど、みんなが本気で長を滅したいと思ってる事、それから、今のみんなは”悪霊”じゃない、”瀬山の霊媒師”に戻ってくれたのだと、説明したんだ。
『そう……私はてっきり、岡村君は彼らを滅するものだと思っていました。それがまぁ、ふふふ、滅する側と滅される側が協力し合うとはまぁ、一体どんな話をしたの、まったく、そんなコトになってたなんて、あらあらまあまあ、』
そう言った先代は『あらあらまあまあ』を繰り返し、僕の顔をしげしげと眺めていた。
近い距離で目が合って、なんとなく互いを視たまま……なんだけど、途中先代は僕の顔を覗き込み、ふにゃっと笑うと頬を優しく拭ってくれた。
「あ、あれ? もしかして……僕の顔、汚れてます?」
さっき地面に転んだからな、その時に泥がついたのかも。
いい年した中年が恥ずかしい……と、思う反面。
骨太のゴツイ手は氷のように冷たくて、走った身体に気持ちがいいのと、肌から伝わる激甘の祖父のような優しさに、訳もなく泣きたくなった。
『うん、ほっぺにね、少しだけ泥がついてた。これでキレイになったよ』
言いながらニコーッと笑った先代は、顔はすこぶる若いのに出す空気はいつものお爺ちゃんそのもので、30過ぎた大人の僕をまるで子供扱いだ。
だけどなんだか安心するよ。
長を喋らせ(いや、勝手に喋ってくれたけど)時間を稼ぎ、ワザと喰われた翔君を助け出す____胃が痛くなる緊張感が溶けていく。
横を視れば翔君もまた、瀬山さんに頭を撫ぜられていた。
『キミは昨日の子だよね。爆弾、頑張ったね。それから……今まで嫌だったよね、怖かったよね、辛かったよね。ごめんね、もっと早く来れたら良かった、』
言い終えるより先に、瀬山さんは少年を抱きしめていた。
震える声で『父がごめん』と何度も言って、対し翔君は『あんたが悪いんじゃない』と首を横に振っていた。
辛いな……翔君はこんなに良い子で、それは視たらすぐわかる。
瀬山さん、自分の父親のせいでみんなを巻き込み苦しめた、そう責任を感じているのかもしれない。
痛みが伝わってくる……僕と瀬山さんは似てるんだ。
気の弱いトコも、自分のせいで誰かが傷付くのが精神的に耐えがたいトコも。
声をかけようかな、と思った。
瀬山さんが悪いんじゃない、翔君もみんなも、すべてがすべて悪いんじゃない、だから、必要以上に自分を責めたらダメなんです、そう言おうと思った……が、
____ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!
______ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!
____ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!
______ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!
心臓が、激しく大きく鳴り出した。
僕の音に重なって、何かを訴えるように鳴り響いているんだ。
……
…………この音が何を訴えたいのか。
ははは、わかってる。
待ちきれないのね。
____岡村ーーっ! 我々を早く此処から出さないかーーーーっ!
刹那、手練れの男達の声が、僕の頭に響き渡ったのだ。
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