第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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身体が揺れるくらいの心臓音。 そりゃそうか、全部で26人分だ。 騒がしくもなるだろう。 ____まだかー! ____出せー! ____えぇっとー! 「はいはいはい! わかりましたって! 今出してあげますから!」 中にいる彼らは(・・・・・・・)『外に出せー!』と大騒ぎだ。 ああもう、そのせいで心臓がドッキドキだよ。 ____おそらく副作用だ、 ____欠片と言えども凄い霊力(ちから)を飲み込んだのだ、 ____だが心配ない、時期に慣れる、 ____激しく感情が昂りでもしない限り、通常に戻るだろう、 中村さんはこう言っていた。 大きな霊力(ちから)の副作用、感情が昂れば心臓を大きく鳴らす。 あははは、うるさいったらありゃしない。 早いトコ出してあげなきゃ。 や、ホントに、だって後ろもうるさい、先代も騒いでる。 『”出してあげる”? ……まさかキミの中に(・・・・・)彼らがいるのかい? ちょっとぉぉぉぉ! 駄目じゃなぃぃぃぃ! 魂が混ざっちゃうでしょぉぉぉぉ!』 ちょ、先代、落ち着いて、チガウから、いるにはいるけど僕の中じゃないから(・・・・・・・・・)、場所チガウから、もしそうならこんな元気じゃないから。 テンパる先代を腰にぶら下げ、僕はみんなを外に出すべく言霊を唱えた。 「瀬山の霊媒師のみなさーん! お待たせしましたー! 全員外に出てきてくださーい!」 ふふふ、どうよこの無難すぎる言霊は! 僕は学習したんだ、 人前で唱えても照れないような、ごくごく普通の呼びかけを言霊にした方がいいってコトを! 可もなく不可もない言霊を唱えた数秒後。 首にかけたペンダント、瀬山さんの霊力(ちから)の塊がブルブルと震え出した(スマホのマナーモードっぽい)。 来る、そう感じた次の瞬間、男達は次々宙に放たれた。 ビュンッ……シュタッ!! 先陣切って、華麗な捻りで地に降りたのは僕らのポニテのいぶし銀、そう中村さんだ。 まとめた髪にツヤはなく、それがかえってカッコイイ。 次に降りるは薙刀使いの森木さん、その次は霊矢使いの野崎さん、霊刀使いの丸山さんにガンマンの大上さん……と、あっという間に全員が外に出た。 そして。
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