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『翔!』
開口一番、男達は少年を取り囲む。
『負傷ヶ所はないか!?』
『よくやったな!』
『えぇっとー! 無事で良かったです、はい!』
囲まれた翔君はもみくちゃにされながら、1年分の褒め言葉を全身に受けていた。
みんな心配だったんだな、『失敗したって無駄にはならない』なんて言ってたクセにさ。
僕を含めればトゥエンティーエイトマンセル、ははは、28人って多いな。
このマンセルで長を滅したら、滅する事が出来たら、この人達はめちゃくちゃ喜ぶんだろうな。
その後、今度は自分達が滅される事になっても、それでもきっと、喜ぶのだろう。
はぁぁぁ……切ないな。
山に来てから、一体何十回目の切なさだろう?
だけど、そんな感傷はすぐに吹き飛ぶ事になった。
『ショウちゃん……あすこ視て、』
後ろから、低くて小さな先代の声がして、
『ん……そうだね、平ちゃん』
そう答える瀬山さんの声もしたんだ。
なに……?
先代達……なんか様子が変だ。
さっきまでみんなのコトをニコニコしながら眺めてたのに。
僕は2人が視る方向、すなわち振り返り、煙の上がる遠方に顔を向けた。
………………え……?
「先代! 瀬山さん!」
もう一度振り返り声を上げた。
僕の大声は男達にも当然聞こえ、一斉にコチラを視た。
僕を視て、僕を飛び越え更に遠くを視る____と、そこからは疾風のごとく。
男達は一切の表情を顔から消すと、半瞬後には配置についた。
僕も走ってそこに加わる。
緊張する……手に汗が滲むよ。
目線の先、そこにはパニック映画に出てくるような巨大な蛇がいた。
ああ……クソッ!
クラクラするしキモチワルイ……視るに堪えないビジュアルだ。
蛇がキライという訳じゃあないのに、動物ならなんでも好きなのに。
だけどアレはダメだ。
巨大なだけならまだいい、だけどあの蛇、霊体中に小さな蛇が生えている。
ビッシリウネウネ……まるで巨大なイソギンチャクだ。
あれは長なのか……?
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