第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

140/267
前へ
/2550ページ
次へ
(かける)!』 開口一番、男達は少年を取り囲む。 『負傷ヶ所はないか!?』 『よくやったな!』 『えぇっとー! 無事で良かったです、はい!』 囲まれた(かける)君はもみくちゃにされながら、1年分の褒め言葉を全身に受けていた。 みんな心配だったんだな、『失敗したって無駄にはならない』なんて言ってたクセにさ。 僕を含めればトゥエンティーエイトマンセル、ははは、28人って多いな。 このマンセルで(おさ)を滅したら、滅する事が出来たら、この人達はめちゃくちゃ喜ぶんだろうな。 その後、今度は自分達が滅される事になっても、それでもきっと、喜ぶのだろう。 はぁぁぁ……切ないな。 (ココ)に来てから、一体何十回目の切なさだろう? だけど、そんな感傷はすぐに吹き飛ぶ事になった。 『ショウちゃん……あすこ視て、』 後ろから、低くて小さな先代の声がして、 『ん……そうだね、平ちゃん』 そう答える瀬山さんの声もしたんだ。 なに……? 先代達……なんか様子が変だ。 さっきまでみんなのコトをニコニコしながら眺めてたのに。 僕は2人が視る方向、すなわち振り返り、煙の上がる遠方に顔を向けた。 ………………え……? 「先代! 瀬山さん!」 もう一度振り返り声を上げた。 僕の大声は男達にも当然聞こえ、一斉にコチラを視た。 僕を視て、僕を飛び越え更に遠くを視る____と、そこからは疾風のごとく。 男達は一切の表情を顔から消すと、半瞬後には配置についた。 僕も走ってそこに加わる。 緊張する……手に汗が滲むよ。 目線の先、そこにはパニック映画に出てくるような巨大な蛇がいた。 ああ……クソッ! クラクラするしキモチワルイ……視るに堪えないビジュアルだ。 蛇がキライという訳じゃあないのに、動物ならなんでも好きなのに。 だけどアレ(・・)はダメだ。 巨大なだけならまだいい、だけどあの蛇、霊体中(からだじゅう)に小さな蛇が生えている(・・・・・・)。 ビッシリウネウネ……まるで巨大なイソギンチャクだ。 あれは(おさ)なのか……?
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加