第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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◆ 僕達は4つの班に分かれた。 配置は最前列に8人、次列に10人(5人ずつの2班が横一列に並んでる)、その後ろに僕と大福と中村さん、後列に8人だ。 最前列の8人は、位置からして然りだけども、先陣切って(おさ)に挑む第一陣だ。 いわゆる斬り込み隊というもので、ウチの会社で言えば社長や弥生さんのポジションにあたる。 敵の出方がわからない初動の中での斬り込みは、もっとも危険でもっとも大事な役割だ。 斬り込み隊のメンバーは、苦内(くない)(かける)君とガンマンの大上さんを中心に、戦闘担当がもう4人。 使い込まれたノコギリ、視ただけで身がすくむ大鎌、振り回すのも大変そうな重量級の斧、先端に何百もの釘が打たれた極太こん棒……と、みんなそれぞれ武器を手に立っていた。 が、例外がいる。 それは列の両端に立つ2人、近藤さんと大橋さんだ。 年の頃は40代半ば、屈強な体躯で両者眼鏡をかけている。 (かける)君達と違うのは、2人共手に何も持っていない。 それもそのはず、彼らは回復専門なのだ。 基本、2人は戦わない。 戦闘班に同行し、傷付いた霊媒師を回復させるのが仕事になる。 もちろん、攻撃されれば対応はするものの手段は防御と回避だ。 戦えば戦闘能力は高い、だがあえて逃げる。 2人がやられてしまっては、班は全滅するからだ。 次列。 こちらは5人ずつの班が左右に分かれて立っている。 『えぇっとー』が口癖の薙刀使いの森木さん、霊刀使いの丸山さん、鉤縄(かぎなわ)の川畠さんに、鎖鎌の遠藤さん、……総勢10人の手練れ達だ。 この2班は、斬り込み隊の状況を視ながらまずは待機。 先陣がピンチの時、またリーダーからの指示があった時、瞬時に敵地に乗り込むのだ。 その後ろ。 此処に僕と大福と中村さんが立つ。 僕も基本、戦わない方向だ。 戦闘能力が低いから……というのもあるかもしれない。 だがそれ以上に大事な役割があるんだ。 そう、男達の誰かが喰われた時、(おさ)の中から引っ張り出して取り返すという役割だ。 正直プレッシャーだ、それでも僕は頑張るよ。 絶対に助け出す、誰一人(おさ)に喰わせたりしないから。 そしてポニテのいぶし銀、中村さんは27人の司令塔だ。 男達の中で1番の年上で1番の手練れ、生前の実践数も群を抜いている。 主に中村さんが作戦を立て、現場では全体を視ながらその都度指示を出す。 それぞれの動きを視ながら必要ならば自分も加勢。 中村さんはトゥエンティーエイトマンセルの頭脳であり戦力でもあるのだ。 最後列。 此処に並ぶは遠距離戦に長けた者達。 霊矢使いの野崎さんと投石隊。 投石と言ったって、えーい! と石を投げるだけじゃないから、すんごい速度だから、メジャーリーグのピッチャーくらいの投げちゃうから。 遠距離班は僕の後ろ、流れ石に当たらないよう気を付けなくっちゃ。 なんたって僕のスキルは霊との物理干渉で、(ry
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