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「しかしキモチワルイな……ねぇ中村さん、あのイソギンチャクと蛇が合体したようなアレ、やっぱり長ですかねぇ? それとも長が構築した謎の生物とかかな?」
キビキビと斬り込み隊に指示を出す、そんな中村さんの話がひと段落ついた隙に聞いてみた。
すると、
『あれは長だ。長は死後半世紀で首から下がない。いつもなら俺達の誰かか……もしくは山を下りて霊を喰らい仮の霊体を構築する。だがその霊体を翔が壊した。爆弾で木っ端微塵にしてな。そのままくたばってくれたら良かったが、首だけが残った。おそらく寸前で霊体を切り離したのだろう。もう一度霊体を構築するには俺達の誰かを喰う必要があるが、残念ながら俺達は此処にいる。人の霊体を構築するには人の魂が必要なんだ。それで……霊力を使って構築したんだ、霊体の代わりになるものを。それがアレだ』
真っすぐに長を視て、そう教えてくれた。
「そうなんだ……でもさ、なんで蛇なんですか? しかも……霊体中に小さな蛇がビッシリついてる。キモチワルイよ」
『確かに、視ていてあまり気持ちの良いものではないな。何故蛇か、か。それはこの50年、長は喰らい続けていたんだよ。山の蛇を、命があれば殺して喰らい、なくて彷徨う蛇がいればそれもまた喰らう。その数は……50年だ、想像だけで胃液が上がる』
「…………50年、蛇を喰い続けてたの……? じゃあ……巨大な蛇の霊体も、イソギンチャクみたいな小さな蛇も、元はと言えば、この山にいた蛇たちなの? 長はヒトだけじゃない……蛇まで喰らっていたのか……酷いな……」
『蛇だけじゃない、他にも沢山喰らっていたよ。動物の魂は人程ではないが霊力にしやすい。長は消滅するのを極端に恐れていたからな。____岡村、あの蛇には気を付けろ、』
眼光鋭く、気を付けろと僕に言う。
もちろん! だって僕のスキルは(ry
「わかりました。あんな巨大な蛇に乗っかられたら潰れて死んじゃうもの。気を付けます」
『岡村、違うんだ。本当に気を付けなければならないのは巨大な本体じゃない。霊体に生えてる小さな方だ』
「え……そうなの? 小さいのに? どうして?」
距離があってアレだけど、生えてる蛇はおそらく、ペットショップや動物園にいる子達と同じくらいのスケールだ。
あのくらいなら、いくら僕でもなんとかなると思うのに。
僕ってそんなに頼りないかな。
『ああ、それはな、』
言いかけた中村さんだが、その続きは翔君の大声に中断された。
『蛇野郎が動き出したっ! 中村さん! 蛇が動いたら行っていいんだよな! 第一班! 斬り込み隊出撃するっ!!』
ザンッ!!
8人の男達が一斉に飛び上がり、着地と同時に走り出した。
その背中は殺気に満ちて、あっという間に小さくなる。
「みんな……気を付けて……!」
僕は祈りの言葉を口から漏らし、同時、増幅の印を結ぶと霊鎖の準備を始めた。
もしも誰かが喰われたら、絶対に僕が助け出す。
長なんかに渡すもんか。
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