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大鎌が激しく小蛇を刎ね続ける____
____イコール、長の降下が止まらないという事だ。
翔君への怒りから、あまりに速度をつけすぎた。
急には止まれないのか、方向転換も難しいのか、それとも、小蛇と引き換えにしてでも少年を滅したいのか。
長は悪態らしき唸りをあげて、そのまま降下をし続けていた。
降下の軌道の最終地点。
地上のそこには翔君が立っていた。
足は肩幅、顎を上げて空を視る。
逃げず、動かず、胸の前で腕を組み、苦内さえ手に持たず。
丸腰の少年は思春期の反抗期よろしく、とてつもない生意気な顔で笑っていた。
一方空では。
『ドチクショォォォォォォオオオオオオオオオッ!!』
大鎌使いの杉野さんが絶叫していた。
長い柄を両手で握り、数多の小蛇を刎ねながら、ぶら下がるようにそこにいた。
ブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチ
ブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチ
ビッシリ生える小蛇の群れの、既に三分の二は刈り込み済みだ。
切られた小蛇が大波小波で跳ね飛ぶ中、その大半は大鎌使いの顔や肩にぶつかりながら落ちていく……痛そうだ。
一本一本は大した重さじゃなさそうだけど、あの量でぶつかってこられたら、相当な痛みだろう。
そのせいだろうか、顔色が悪い。
ここから遠目でそれがハッキリわかる程、肌の色が紫色だ。
杉野さんが気になりつつも、地上と宙の間では、彼を後回しにせざるを得ない状況が差し迫っていた。
巨大な蛇がいよいよ地上に着きそうで、もうすぐ、あとちょっとで、……ッ! 嘘だろ! なぜ動かない!
「翔君! 逃げて!」
降下の軌道の最終地点、地上。
胸の前で腕を組み、不敵に笑う翔君は微動だにしなかった。
生意気な横顔は上を向き、グワリと開いた巨大な口に、怯むことなく胸を張る。
クソッ!!!
なにやってんだ!!!
「クッ……! このバカ翔!!!」
汚い言葉を垂れ流し僕は必死に霊鎖を放った。
____岡村がいれば喰われるの怖くないな!
ああもう、
子供ってメンドクサイ、
素直にもほどがある、
無邪気に僕を信じすぎ、
だけどさ、ここまで信じてくれるなら、
大人は、それに応えなくちゃいけないんだ!
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