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絶対に杉野さんを回復させる。
固く決意し、まずした事は無駄に焦るのをやめる事だった。
焦った所で良い事なんて何もない。
ゆっくり落ち着き確実に、僕は杉野さんに癒しの霊力を使い続けていた。
その間、僕達はたくさんの話をしたんだ。
『昔からだ。大上は何かにつけて銃を撃つんだ。さっきもそうだっただろう?
近藤が封じた小蛇、翔が霊力で滅そうとしたのに、「それじゃあ時間がかかる」などと思いっ切り撃ちやがった』
ははは……確かに撃ってた。
聞けば相当なガンマニアで、リアルを無視した改造に日々勤しんでいるという。
てかやりすぎ、撃っただけで大炎上とかどんだけ威力上げてんだ。
まったくホントに、”瀬山の霊媒師”は無茶するコトがデフォルトなのか?
あ……無茶といえば大橋さんは?
杉野さんを治したあと手がド紫になっていた。
元気そうには視えたけど腕はダラッと下げたまま……心配だよ。
『心配ない。奴の手が紫色になったのは、俺の毒を吸い取ったからだ。あのまま放っておけば俺は毒に侵され消滅しただろう。急ぐ必要があった。今、岡村も俺を治癒しようとしているが中々進まないだろう? 長の毒はしつこい。大橋はそれがわかってたから、”治療”じゃなく”吸収”したんだ。ある程度取り除いてもらえれば俺は助かる。さすがにな、あの量の全てを吸収したら大橋も危ない。だから半分だけ。残りは岡村に託したんだ』
そうだったんだ……吸収なんて危険な事を……ねぇ杉野さん。
毒を吸った大橋さんは大丈夫なんですか?
『大丈夫だ、大橋は毒に対する耐性が強い。時間が経てば奴の霊体で浄化する。……奴はな、長の実験体なんだ。長は新たな毒を構築するたび仲間達の霊体を使って検証してた。そのせいで消滅した奴が沢山いた中、大橋だけは消滅しなかったんだ。強いんだよ、毒にな』
毒の実験体!?
嘘だろ? ありえない!
いくら耐性があるからと、部下で実験する上司がどこにいる!
大橋さんをなんだと思ってるんだ!
長の話は聞けば聞くほど気分が悪い、最低だ、心の底から大嫌いだ!
『長が大蛇に変化するのは今日が初めてじゃない。背中にビッシリ小蛇を生やして猛毒をまき散らす。近付く事もままならない、だから最初に刈ったんだ。俺が、みんなが、思いっ切り戦えるようにな。半分も刈れたら良いと思ってた、それが限界だとも。だが翔が頑張ってくれた。憎たらしいコトを並べ立て、長を引き付けてくれた。翔が動かなければ長の軌道が読める。あれだけ刈れたのは翔のおかげた』
だから翔君、ギリギリまで動かなかったんだ。
生意気な顔をして、長を煽りまくってた。
それだって危険なのに、僕を信じて、僕がいるからと留まり続けたんだ。
ああもう……この人達って本当にさ、長さえいなければさ、今は全然違ったのに。
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