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『ウォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!』
雄叫びの大鎌使いが助走をつけて高く飛ぶ。
厳つい霊体を仰け反らし、戻す力で刀身を振り落とす。
鋭利な刃は大蛇の背中にぶっ刺さり、鱗の肌を斬り裂きながら降下した。
ギィィィァッッ!!
叫んだ声は、割れてしゃがれて苦痛の色に染まってる。
とぐろに巻かれた長い霊体がドシャリと潰れ、傷からは大量の黒い液が溢れだした。
『杉野っ!』
斬り込み隊に第2班、そして援護の第3班。
男達は戻った仲間のその名を呼んだ。
『遅れて悪かった。大橋、手は大丈夫か? 翔、さっきは頑張ったな』
遅刻の詫びだと合流早々、大蛇の霊体に刃を立てて、みんなの士気を一気に上げた。
男達が気合いの叫びを力強く重ねると、霊力が漲り溢れだす。
2班のみんなと斬り込み隊、三手に分かれて大蛇を囲み、苦内に銃、ノコギリ、こん棒、もちろん大鎌、途切れる事なく攻め立てた。
その攻めを、大蛇は霊体をうねらせ払い除け、尾を振り上げて応戦するも、グルリと囲む援護隊がそれを阻止。
豪速の石を飛ばし霊矢を飛ばし、死角無しの全方向。
大蛇の動きをいちいち邪魔して、その隙、斬り込み隊と第2班が数ダースの攻撃を叩き込む。
男達の腕は一流。
それもそのはず、毎日毎晩昼夜を問わず吐くほど修行を積んできた。
彼らの事は霊と思わず駒と視る、ブラック上司に強要されてこれでもかと鍛えてきたのだ。
長にしてみりゃ強い手駒を作る為、だったんだろうが皮肉だな。
血反吐の修行は結果今、長自身を追い詰める。
鎖鎌が斬り付けて、負傷の大蛇を鉤縄が締め上げる、咆哮の開いた口には大上さんの拳銃が、丸山さんの霊刀はゴッソリ鱗を剥ぎ取った。
動きが鈍る大蛇の背中、まばらに残った毒の小蛇は、シャーシャーと威嚇をするが、その餌食になる者一人もいない。
長い霊体にみるみる傷が増えていく。
傷から垂れる黒い液は修復をかけるけど、こん棒使いは執拗で、傷の半分も治させない。
すごい、すごいぞ……!
みんなが長を圧倒してる……!
これが本来の姿、”瀬山の霊媒師達”なんだ……!
絶え間ない攻撃は反撃の隙すら奪う。
長の霊体は大きいけれど、人じゃない、蛇なのだ。
手指が無いから印が結べず、結果、長からの攻撃は限られたものになっていた。
だが忘れてはいけない。
これだけ優位に立てるのは背中の小蛇がいないからだ。
いなければ近づける、毒にやられる心配がない。
杉野さんの霊体を張った功績が、今此処で実を結んだのだ。
「中村さん……これ……もしかして、このまま一気に勝てますかね……? だってみんなが優勢だ。今の長は印が結べない、だから術も発動しない、体術しか頼れるモノがないんだ。毒の小蛇は杉野さんが刈ってしまったもの。巨体にさえ気を付けてれば……勝てますよね、」
言いながらドキドキしていた。
もちろん油断はしない、しちゃいけない。
でもさ、こんなにみんなが優勢だと、どうしたって期待しちゃうよ……!
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