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両手を天に。
男2人が展開させるは幾何学模様の防御陣。
紫色の霊力の線が光の速さで陣を描き、瞬き3つで果ての果てまで広がった____直後。
大蛇のまわりを、数多漂う黒い梵字が、ピタリとその場で動きを止めた。
そして半瞬の滞空後、もう半瞬の時を経て、梵字は浮力を失うと、そのまま真下に落下を始めた。
滝のような激しさで、多量の梵字が上から下へ陣の上に落下する。
1つの梵字はメロンくらいの大きさで、重さがあるのか落ちた時の音が鈍い。
水と違って流れないから、陣の上では梵字の層が瞬く間に厚くなる。
これ……マズイんじゃないか……?
陣の上で積まれる梵字はかなりの量になっていた。
このままじゃみんなは陣ごと潰されてしまう。
かといって陣から出るのも危険だ。
たとえるなら空から大量の鉄球が落ちてくるようなものだもの。
陣を支える大橋さんと近藤さんの腕が震え始め、表情が苦しく歪み始めた。
そんな仲間の顔を視て、最初に動いたのは援護隊だった。
グルリの円陣は崩さずに、その場で次々腕を上げると、重さを増した防御陣を支え始めた。
それに続く第2班も同様に、腕を上げ、彼らは内側から陣を支える。
逆に斬り込み隊は陣を支えなかった。
武器を手に、空ではなく、地上からの攻撃に備えているようだった。
そうだよな、全員で支えてしまったら、襲ってくださいと言っているようなものだもの。
対処出来る人足が必要だ。
とりあえず、時間稼ぎにはなりそうだ。
陣を支えて梵字を避ける。
だけどこの後は?
どうしたらいいんだろう、
僕の隣で汗を滲ます中村さんが、手早く印を結び出す。
同時、窮地のみんなに大声を上げた。
『全班そのまま今暫く耐えてくれ! 陣から出るなよ! 出れば潰される!』
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