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長い霊体が大地の上に投げられた。
辺り一面、土煙が舞い上がり、視界がすこぶる悪くなる……が、悪環境にも関わらず、剣を抜いた中村さんは休む間もなく走り出した。
腹から走るは上部側、すなわち瘤の顔がある方向。
全速力で助走をつけると瘤の頭に飛び乗った。
乗られた大蛇は音にならない叫びをあげて、振り落とそうとする、も、動きは中村さんが早かった。
両手に持った剣の刃先を下に向け、勢いつけてしゃがむ動きで、縦に真下に大蛇の頭に突き刺した。
アガァァァッ!!
今度は音になる、大蛇の叫びが響き渡る。
首から下の長い霊体が激しくのたうち、土煙を上げている。
だが頭は動かない、そう、動かしたくても動かせない。
二刀の剣は頭を貫通、口の中を通過して顎の下へと抜けている。
大地と大蛇は剣によって縫い付けられて、動く事がままならない。
大蛇が動けないのを確認すると、中村さんは印を結んで手を振り下ろし、新たな剣を出現させた。
そして今度は鱗の背中に剣を突き立て、頭よりも下部側。
すなわち尾の方向へと走り出した。
ビタンビタンと暴れる霊体を器用に落ちずに全力疾走。
引きずる刃先は鱗ごと切り裂いて、うねる霊体に走った跡が刻まれる。
先程同様、尚も引きずり続けると、摩擦の力で刀身に真っ赤な火花が散り出した。
走って走って、尾の先まで辿り着くと、中村さんは剣を引き抜き地に降りた。
長い霊体の背中には、二本の傷が延々パックリ開いている、が、そこから流れる黒い液が早々に傷の修復をかけ始めていた。
せっかくの攻撃がこれじゃあ……僕は悔しい気持ちでいっぱいになった。
あの修復機能を何とかしないと、イタチごっこになってしまう。
暴れる霊体が一層激しく黒い液をまき散らす。
縦に横に波打って、半端じゃない暴れ方。
視れば上部側、今まさに大蛇が頭を振り起こした所だった。
強引に、頭から顎にかけて剣を刺したまま、燃えるような赤い眼で中村さんを睨みつけていた。
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