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中村さんは翔君、そしてみんなを順に視た。
そして、
『岡村が言っていたよ……「信じてる、みんなは長より強い」と、「必ず勝って戻って来てくれ」とな。翔、みんなも聞いてくれ。犠牲になろうとするな、こんな所で終わろうとするな。我々は長にやられて消滅なんてしない。長を滅し、長に勝って、岡村に、清き者に送ってもらうんだ、その為まずはお前達を助けるっ!』
力強くそう言うと、印を結んで手を振り下ろし、大剣二本を出現させた。
両手に握り、弧を描きながら地面で擦ると火花が散った。
その剣をガキンッと激しくバツの形にぶつければ、刀身からは炎が噴き出しゴウゴウと燃え上がる。
陣の高さは地上高2メートルもない。
僕と背丈の変わらない、翔君が腕を伸ばして届く高さだ。
その上に黒い梵字が積み上がる。
目測でしかないけれど、陣の高さと同じ分だけ層になっていた。
『もう少し耐えてくれ!』
中村さんはそう言うと垂直に飛んだ。
高さを稼いで梵字に目線が合わさると、左右の腕をクロスに重ねて内から外に振り切った。
ブォンッ!!
途端重たい風が吹く。
その風は重なる梵字を吹き飛ばした。
全部じゃないが、上側の何層かが遠くの地面に転がった。
すごいな……剣圧だけで払ってしまうのか。
老練は、飽きる事なくその作業を繰り返し、しまいに全部をどけてしまったのだ。
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