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『みんな集まってくれ』
中村さんが集合をかけた。
あれだけ笑い転げていた翔君も、真面目な顔で傍に寄る。
『此処まで____おおよそ作戦通りと言っていいだろう。長の霊力を削れるだけ削る、という目的はおそらく果たせたはずだ。小蛇は刈り取った、お前達の総攻撃を浴びせ、そして今……あの通り、長は燃えている』
中村さんは顎で後ろを指した。
そこには火力は幾分弱まってきたものの、いまだ燃える炎があった。
火に包まれる長の姿は、黒く揺らめきよく視えない……が、明らかに形が変わり始めている。
パニック映画に出てくるような、巨大な霊体が一回りも二回りも縮んだように視えた。
『長の霊力で厄介なのは、毒の小蛇と攻撃力だけじゃない。知っての通り、黒い治癒液だ。長の霊体を傷付ければ、粘った液が流れ出て、たちまち回復させてしまう。だが、その霊力もだいぶ減ったはずだ、いや、今も減り続けている、』
減り続けてる……? どういう事だ……?
ん…………あっ……! 炎か……!
長はきっと、炎から身を守ろうと、霊力を、黒い治癒液を(あの、回復させる黒い液の事、そう言ってたよな)リアルタイムで使ってる真っ最中なんだ!
笑い合ってた間も、今こうして話をしてる間も無駄にしない。
すごい、すごいや!
僕は大興奮で隣の大福を高速でモフモフし、それでも熱は治まらなくて、だから、
「先代! 瀬山さん! 聞いてました!? 中村さんの炎、長の霊力を削り続けてるって、」
大好きな二人組に振り返り、テンション高めで話しかけたんだ。
だけど……
「あれ? いない……」
そこには誰もいなかった。
トゥエンティーエイトマンセルの僕らの戦いを、まずは見守ると、手は出さず、少し離れて後ろにいたずなのに。
どこに行っちゃったんだろう……?
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