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長澤さんと森木さんが抜けてた間も、長との戦いは続いていた。
目線を投げれば、あらゆる武器が唸りを上げている。
苦内に大鎌、釘が打たれた極太こん棒、鎖鎌に巨大な斧、リアルを無視した威力爆上げデザートイーグル、息つく暇すらないスピードで長を攻め続ける。
そんな様子は一見、みんなが圧しているかのように視えた。
外側から、援護隊、第2班、斬り込み隊と、三重に囲まれたその中心で、長は集中攻撃を喰らっていたからだ。
だがおかしい。
長が一向に倒れない……かと言って反撃らしきもせず、なのだ。
あれだけの集中攻撃をぜんぶ避けているのか?
立ち位置が激しく変わる、みんなの霊体の隙間から長を観察してみると……
うわ……なんだアレ……蛇で編まれた長の霊体は、激しく変化を繰り返していた。
『クソッ! ぜんぜん当たらない!』
苦内を投げた翔君が、舌打ちをして吠えた。
『コッチもだ! 銃が当たらねぇ!』
『オレの大鎌も避けられる!』
『避けられるというよりコレは……』
少年の言葉をきっかけに、みんなも次々愚痴を漏らし始めた。
その声には焦りの色が含まれる。
それでも諦めず、こん棒使いの高野さんが前に出た。
釘付きの極太を、両手で振り上げ蛇の霊体に叩き込んだ……のだが。
こん棒は長の肩にヒットして、深く重く喰い込んだ。
やったか……! と喜んだのも束の間。
編まれた蛇が瞬時に解けて、そして再び編み始める。
その間、僅か数秒だ。
編み変えた長の霊体は……そう、長の、蛇の霊体に違いは無かった。
だけど……
『またか!』
高野さんが大きな声で独り言ち、眉間に深く皺を寄せた。
そして憎々し気にこん棒から手を離す。
手を離したこん棒は地に落ちる事無く……長の手に握られていた。
いつの間に奪ったか。
それはさっきの数秒だった。
数多の蛇がほどけ編み直される時、蛇の霊体の各部位の、その位置が変わってしまう。
確かにこん棒が喰い込んでいた肩は、編み直されて今度は右手になっていた。
この調子なのだ。
胸に刺さるはずだった苦内も、腹を引き裂く大鎌も、全て奪われてしまう。
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