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だがしかし、ハッキリ言って自信がない。
今の僕のスキルでは、悔しいけれどうまくいくか分からない。
失敗すればみんなに迷惑がかかる、実行するには勇気が必要だ。
決断できないまま時間が過ぎていく。
斬り込み隊と第2班に引き続き、援護隊の豪速石も無効化されて、それでも、みんなは諦めていなかった。
出来る事はなんだって。
武器が駄目なら体術だと、力士ライクな林さんが突進した……が、やはりこれも無効化された。
クソ……! ダメか……!
殴るにしても蹴るにしても、結局は物理攻撃だ。
拳や足があたる寸前、霊体を編み直されてしまったら同じ事なのだ。
武器も拳も、長にとっては変わりがない。
ちらほらと、みんなに疲労が視え始めた。
ことごとく攻撃が通用しない。
霊力を削られ、気持ちも削られ、焦る気持ちが蓄積される。
と、ここにきて突然、長が口を開いた。
『お前達には失望した、』
低くて、ザラついて、しわがれた声……なんだけど、気持ち悪……!
長が一言発すると、霊体中の蛇達も連鎖した。
グワリと大きく口を開け、上顎と下顎は粘った糸が繋いでる。
喉の奥からシャーシャーと音を吐き、光る眼は真っ赤な血の色をしていた。
人の霊体を模したてっぺん。
頭部と思わしその部位でも、顔面から小指程の細い小蛇がブワっと飛び出て、百の単位でウゾウゾと揺れていた。
口の中が苦くなる……胃液が上がる……嫌悪感でいっぱいになる。
これならさ、マジョリカさんの現場で視た、全身ブツブツ”巨峰野郎”の方が全然マシだ。
霊体中の蛇達は、首をしならせ口を大きく開けたまま、それゆえ粘った唾液が糸を引いて地に落ちる。
足元では液溜まりが出来る中、長は再び声を発した。
『飼い犬に手を噛まれるとは____私も見くびられたものだ、』
見当違いな嘆きに合わせ、顔の小蛇が一層激しく蠢いた。
17才の少年の『飼われてねぇよ、』という吐き捨てを、気にする様子はまるでない。
『だが、お前達はよくやってくれた、』
えっ……!
長がみんなを……褒めた?
一般的には労いの言葉だ、だけど、それをそのまま受けとめられない。
何か裏があるはずだ。
僕が疑問に感じるように、いや、それ以上の疑問と動揺がみんなに走った。
ヒトと思わずコマと視る。
そんな長に、長年散々な目に遭わされてきたんだ。
信じる訳がない、裏を読もうとみんなは顔をしかめていた。
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