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「なんて事をするんだ! 中にはみんながいるんだぞ!」
怒りのあまりに怒鳴り散らすも、燃え上がる炎を前に、僕は手も足も出せずにいた。
この炎は現世のとは違う、霊力で構築されたもので本物じゃあない……はずなのに、僕から視れば色も熱さもなにもかも、現世の炎そのものだった。
近付けば髪の焼ける匂いが上がり、肌は焙られヒリヒリと痛みだす。
クソッ!
今此処に先代はいない、瀬山さんもいない、僕と大福の2人きり、どうすればいい? どうすれば助けられる? 社長ならどうするかな、弥生さんならどうするかな、ウチの斬り込み隊はなんて言って、どう動くかな、あの2人なら____
____きっと何も考えない、考えないで斬り込むはずだ。
そうだ、考えたって炎は消えない、もっと思考を単純に、消えない炎に阻まれるなら、いっそ近付かなければいいんだよ!
僕は手早く鎖を構築、
人数分の27本、
これを山に向けて思いっ切り…………投げるっ!
喰われたみんなを引っ張り出すのとおんなじだ、
鎖でみんなをグルグル巻きに、そして山から助け出すんだ!
飛んだ鎖はうねりもせずに真っすぐに、最短ルートを辿ってる。
どうかお願い無事でいて、鎖に捕らわれ此処まで戻って、僕の元まで帰ってきてよ!
瞬き4つで鎖の束は山に到達。
先端が炎に焙られ鋭い火花が散り出した。
バチバチと音をさせ、鎖は山に入り込もうと奮闘する、……も、入っていかない。
阻まれて、時間だけが消費され、結果、鎖は炎に溶かされ消えた。
「なんで…………、」
血の気が引く、鎖でなんとかなるはずだった。
なのにならない、鎖は無くなり手の中の親玉も消え去った。
『無駄だ、もう奴等を引き出す事は出来ん』
しわがれた声が馬鹿にしたように言った。
「……引き出せない? どうして! 僕の鎖に何をしたんだ!」
言いながらも気持ちが焦る、いまだ山は燃えている。
中のみんなが心配でたまらない。
『岡村よ、見くびるな。先程……私が奴等を喰ろうた時、お前は2度も奪い返したではないか。だがな、それはすなわち、同じ術を2度も私に視せたという事。それだけ視せれば私が策を立てても然りであろう。あの炎は鎖を阻む結界だ。何をどうしたのかは知らんが、奴等の内にある霊力、それとお前の鎖に含まれる霊力、これらが引き合う。この霊力…………彰司のものだな、』
最後は憎々し気に、長は息子の名前を口にした。
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