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はは……ははは……あはははは。
どんな時でもマイペース、強くて可愛い猫又に肩の力が抜けた。
力が抜けると少しは頭が働いてくれる。
そうだよ、怖がってもそうでなくても長は来る。
囲まれた空間に逃げ場はない。
どっちにしたって来るのなら、ダメで元々、とことん抵抗しようじゃない。
うまくすれば逃げられるかもしれないよ。(確率は低いけど)。
失敗したって大丈夫。
もしも僕が喰われても、先代と瀬山さんがいる。
だってさっき頼んでおいた。
僕が僕でなくなったら、”2人で僕を消してください”ってさ。
囲む炎はすこぶる熱い。
けれど、僕は冷静さを取り戻していた。
恐怖心が薄れる代わり、覚悟とやる気が満ちてくる。
その気持ちを燃料に手指を絡めた。
もう何度目だろう、慣れた作業になりつつある霊矢の印だ。
『……ほう、抵抗する気か』
霊矢を構えているというのに、長は動じず半笑いだ。
目鼻がなくてもそれがわかる。
霊体中の蛇の眼が揃って三日月になったもの。
ふん、怯むものか。
「もちろん。負けないからな」
言ってやった、ダイジョウブ、膝も手も震えは止まった、僕はやれる。
『負けないだと? 笑わせるな。霊力はあっても技術がない、未熟者に何が出来るというのだ』
三日月眼の蛇達が一斉に口を開けた。
シャーシャーと空気を漏らし、粘液が糸を引く……気持ち悪いな、まったく。
「そんな事は知ってるさ、バカにするな。やる気はある、技術はこれからだ。今の僕は”質より量”の霊媒師。だけどね、その”量”だけは自信があるんだよっ!」
地を蹴り大福よりも前に踏み込み、両手両五指、真っ赤な霊矢を撃ち込んだ。
1度に10発、それをまずは10セット。
そう広くない炎の筒は動ける範囲が限られる。
長は避けるも数撃ちゃ当たる状態で、命中率が低い僕でもその半分はヒットした。
ヨシッ!
心の中で拳を握る。
その後も狭い範囲の中で、右に左にジグザグに、ひたすら霊矢を撃ち込んだ。
質より量の霊媒師に数量制限はない、だったら。
ケチケチするな、気前良く景気良く、たっぷり長にくれてやれ!
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