第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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プリプリしている大福もカワイイ……などと思いつつ、なにが違うか聞いてみると、 ペキ……ペキ……ベキベキベキ……カシャン、カシャンカシャン、 正面の、キュートな姫の返事の前に、後ろから変な音が聞こえてきたんだ。 この音……僕は5秒考えて「はぁ、」とため息をついた。 「…………随分と早いな、もう少し持つと思ったのに」 カシャンカシャンカシャンカシャカシャカシャカシャカシャカシャ、 独り言ちに重なるように、長引く乾いた落下音。 僕は両手を構えて気配を探る。 ズズズ……引きずるような音までしてた。 僕は静かに息を吸い、振り向きざまに____霊矢を撃った。 『岡村……、』 新たな霊矢が刺さったままの、蛇の霊体(からだ)が真後ろにいた。 よく動けたなと姿を視れば、撃ち込み済の霊矢はかなり抜けていた。 腕さえも動かせずどうやって……と思ったが、おそらく力業だ。 痛みを堪えて無理やり動いて外したのだろう。 足元には落ちた霊矢が小山となって溜まっていた。 『……此処からは出られぬ、』 霊矢が抜けた跡。 そこに位置する蛇達は傷口がグチャグチャだった。 余程強引に動いたのだなとわかる。 黒の治癒液が傷を修復してるけれど、治りはあまり良くないようだ。 ジリジリと歩み来る(おさ)の足取りは重い。 「……悪いけど、僕は忙しいんだ。これ以上アナタに付き合ってる時間はない。此処からは何とかして脱出する。だから邪魔しない……で!」 1メートル程度の至近距離。 さすがの僕でもこれなら外さない。 両手両五指、10本すべてが(おさ)に刺さり、蛇の霊体(からだ)は大きく後ろに仰け反った。 やったか? と期待したが駄目だった。 倒れそうになったものの、上半身を前に振って持ち直し、蛇の足をズズズと擦って僕に向かって手を伸ばす。 立て続けに10セット、合計すれば100本だ。 連続で至近から、胸も腹も腕も足も、まんべんなく撃ち込んだ、なのに。 『身体……身体を寄越せ……生きた身体……血の通う、霊力(ちから)を持つ……希少の霊体(からだ)……』 ゾクリ…… 身体中に鳥肌が立った。 (おさ)を造る蛇達は、傷はグチャグチャ治癒液も間に合わず、半分以上は壊死してる。 赤眼は閉ざされ、シャーシャーと漏れる音も小さくなった。 悲惨な状態だ、なのに(おさ)は止まらない。 何度も霊体(からだ)を仰け反らし、時に膝を着き、それでも僕を喰らおうとしている。 『……少々動きにくくなってしまった、』 (おさ)は呟き小首を傾げた。 顔を左に倒した、その時。 ドチャ、 湿った音を立てながら、蛇の頭部が地に転がった。
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