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「あぁぁぁっ!!」
叫ばずにはいられなかった。
だって首がもげたんだ。
視たくないと思うのに、目は転がる頭に向いてしまう。
顔面にびっしり生えてた細い小蛇は、今ではグッタリとして動かない。
が、首無しの霊体の方は動いてる、気持ち悪い、最高に気持ち悪い!
『これでまた動ける、』
ふぅ、とは言ってないけど、確かに動きが良くなった。
ズズズと引きずる事もなく、ゆっくりだが確実な足取りで僕の前までやってきた。
「……首、なくても大丈夫なの?」
聞いてみる、答えるかはわからないけど気になるよ。
『この霊体は仮のもの、首でも腕でも無くなったとて問題ない。誰かのおかげで頭部の蛇は死に絶えた。あんな物を乗せていても役には立たん、邪魔になるだけだ。故に切り離したまで、』
答えた長は少し背を曲げ、首の断面を僕に視せる。
傷を修復しようとしてるのか、黒い液がグジュグジュと染み出していた。
「うっ……酷いな、……それって……その……痛くないの?」
『痛みはある。そんなもの無くてもいいのだが、痛覚だけは死して尚、感じるものなのだ。だがこれしきは耐えられる。岡村よ……私が手を出せないのを良い事に、さっきは随分と撃ち込んでくれたな。……だがいい。未熟にして無限に霊矢が撃てるとは……その霊力、ますます手に入れるのが楽しみだ』
首もなく、霊体の蛇の半分以上が壊死してる。
なのに声は弾んでるんだ、さっきみたいにフラついてもいない。
いらない首を切り離し、霊力の分配を調整したのだろうな……まったくもって厄介だ。
「魂も身体も渡さないよ。それより言ったでしょ、僕は忙しいんだ。今はアナタの相手をしてられないの。だから邪魔しないでっ!」
言い叫んで両手を前に霊矢を放つ。
もう一度大人しくしててくれ!
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