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大福のヤケドを完治させ、どこもかしこもフワフワモコモコ。
そのフワモコをナデナデナデナデ、これで僕のメンタルも大復活だ。
次は____
滞空する猫又の背に乗って、僕は地上を視下ろしていた。
炎の筒は燃えている。
長はまだ出てきてないけど、それは時間の問題だろう。
1時間後に出て来るか、それとも1分後かはわからない。
だからこそ急がなくっちゃ。
僕は目線を横にずらし、いまだ燃え続ける火の山を視た。
あの中にみんなが閉じ込められて、どのくらいの時間が経っただろう。
どうか無事でいて、どうか持ち堪えて、アナタ達はまだやる事があるんだもの。
全員で長を滅し、悪霊じゃなく英雄として最期を迎えるんだ。
長なんかに消されないで、僕が絶対助けるからね。
「とは言え……どうしたら良いのかな。霊鎖はダメだ、炎が溶かしてしまう」
ビュービューと風を受け、フル回転で考える。
僕が出来る事は少なくて、手立ては本当に限られる。
それでも絶対諦めない。
な、なんてね、さっきの僕は長が怖くて心が負けて、”きっともうダメ”だと思ったクセに。
だけどね、もう負けないよ。
僕には大福がいる、先代も瀬山さんも、”おくりび”のみんなもいる。
そして”日本で一番の霊能軍団、瀬山の霊媒師達”もいるんだ。
あはは、なんだか不思議だな。
みんなを想うだけで心強いよ。
それから1分考えて、それで、僕は一つ思いついたんだ。
「…………駄目で元々。やってみるか」
みんなが梵字に潰される前。
どんなに攻撃してみても、受けた長は、蛇の霊体を解いて編んでの繰り返しで無効化したんだ。
その時、僕は試そうとした事がある。
スキル的に自信がなくて結局はしないまま、グズグズしてたらみんなは危機に陥って、今思えば失敗してもやっておけば良かったと思う。
こういう後悔は嫌だな、もうしたくない。
だから今こそやってみようと思うんだ。
「最初の案とは少し違うけど、やる事は大体同じだ」
大福の背中に跨って、まず最初に山に向かって霊矢を撃った。
両手両五指、1回10発。
3セットも撃てば検証出来るだろう。
速度を持って斜め下。
霊矢は燃え盛る山肌に突き刺さる。
暫く視てたが霊矢が溶ける気配はない。
やっぱりそうか。
あの炎が溶かすのは、”瀬山さんと大福と僕の霊力”が混ざったもので、”僕だけの霊力”は溶かさないというコトだ。
長は”みんなの中にある霊力”を弾くと言ってたもんな。
検証クリア、これなら試せる。
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