第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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僕の霊力(ちから)は溶かされないと分かった所で更に霊矢を撃った。 これでもかと撃ちに撃ち、視た目は”火の山”→”針の火の山”へと進化する。 準備その1はこれでいい。 準備その2は、僕だけの霊力(ちから)で霊鎖を大量に構築し、そのすべてを惜しみなく山に投げた。 霊鎖と霊矢、同じ霊力(ちから)は引き合ってくっついて、結果、有線接続される。 準備その3、これは僕自身の準備が必要。 思い出せ、瀬山さんはなんて言ってた? ____イメージするんだ、 ____構築の済んだ物を次は何に作りかえたいのか、 ____強く、強く思い描くの、 そう、イメージだ。 目的は? みんなを助けたい。 その為にはどうすればいい? 山の中からみんなを出す事は出来ない。 だから山をどうにかどかしたい、消してしまいたい。 そんなコト出来るかな、山はなにで構築されてる? (おさ)の梵字だよ。 山をどかすのは大変だけど、1個1個、梵字をどかすと考えればどうにかなるかな? なる……かな、…………いや、意地でもどうにかするよ。 どうやって? 梵字を造り変える。 造り変える? うん、昨日瀬山さんに教わった術。 一度構築された物を別の物に造り変えるんだ。 再構築か。でも勝率5割じゃない。大丈夫? 失敗するかもよ? だ、大丈夫、だと思う。 2回に1回なら成功するようになったもの。 昨日はさ、霊矢を拘束網に再構築する練習で、まったく違う物に変えるって大変だった。 だから今回難易度を下げようと思うんだ。 それって、どうするの? それはね____ 猫又の背の上で、僕はイメージし続けていた。 こうしたい、という結果だけじゃなく、どうして再構築がしたいのか、その為にはどうしたらいいか、そういったモノを具体的に頭に浮かべ、その思考をひたすら霊鎖に流し込む。 勝率5割。 2回に1回の成功率だ。 大丈夫、1回目が失敗したら、計算上、次の回は成功するんだ。 霊力(ちから)はいくらでも出せる、何度でも挑戦してやる。 じゃんじゃん霊力(ちから)を流し込む。 結構な量になったはずだ。 高さは目測10メートル弱、みんなを埋める憎き山は、あとどのくらいで霊力(ちから)が満杯になるのだろう……なんて、思った時だった。 霊力(ちから)を流す両手に抵抗を感じた。 これ以上は入りません、といった感覚で、どうやら山は霊力(ちから)で満たされたようだ。 「よし、イメージ、イメージ大事」 僕は梵字をどうしたいのか、頭の中に思い浮かべる。 どかすんだ、重たい梵字は動かせない、だから軽くしたい。
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