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1個はメロン大の重たい梵字、これを軽く。
僕のスキルじゃまったく違うモノに再構築は難しい。
梵字と似たようなモノ、僕でもなんとかなるような、そんなイメージで、そんなイメージは____
____えいみ、エイミ、すき、
長い黒髪、白い肌、黒のワンピに黒い靴。
弥生さんにそっくりの、ちっちゃくてあどけない、幼い姿が愛らしく、声のかわりに天から文字を降らせる女の子。
その文字は紫色で、羽のようにふわりふわりと落ちてくる……ヤヨちゃん、
「イメージ来たーーーー!!」
脳内で、ヤヨちゃんが可愛く微笑んでくれた。
その瞬間、霊鎖に霊力を一気に流した。
流した霊力は梵字の中で、長の霊力を食い潰して乗っ取って、炎がみるみる鎮火する。
プスプスと黒い煙が立ち上って飛散して、数多の梵字が剥き出しになった。
よし! いいぞ!
「梵字は文字! 文字を文字に再構築!」
イメージを口に出して意味を強めた。
脳内のヤヨちゃんは可愛くって、ちっちゃなおててを天にかざして【シチューたべたい】と降らせてる。
「好きなコト、好きなモノ、好きなヒト、したいコト、願うコト、ぜーんぶ文字に! 文字の雨を降らせてちょうだいーーーーー!」
思いっ切り叫んだ。
霊力に霊力を加え、イメージを流し込み、祈る気持ちで梵字を視つめていた。
頼む……頼む……頼む……たの……あ……変化が始まった。
一つ一つは黒い塊、その表面に刻まれた梵字が薄くなっていく。
同時、塊の黒色が、僕の霊力の赤へと変わる。
変わりながら光を発し、その光も徐々に強まり、眩しくて視てられない程の輝度となった後、失った浮力を取り戻した。
1個、2個、3個、浮き上がる塊は数を増やし、赤くて光ってどんどん天へと昇ってく。
それは短い時間だった。
あっという間に山は崩れ、僕と大福がいる位置よりももっと高く、赤い雲が広がった、そして。
シャンッ!
たくさんの鈴が鳴ったような、そんなキレイな音がした直後。
赤い雲が細かく千切れて、ふわりふわりと降りだした。
色は違うけど、羽みたいなその軽さはヤヨちゃんの話すコトバによく似ていた。
「……はは……ははは……やった……成功した……重たい梵字が羽の日本語に変わった……ははは……はは……やったーーーーっ!!」
『にゃにゃにゃにゃーーっ!!』
空中で羽の文字を浴びながら、僕と大福は大はしゃぎだった。
浮かれる猫はお得な三尾をブンブン振って、浮かれる僕はフワモコ毛皮をワシワシ撫ぜて、思う存分喜びを分かち合った。
下を視れば山の無き跡。
男達が重なるように倒れていた……が、霊体を潰す塊がなくなって、ふらつきながらも全員、その足で立ち上がったのだ。
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