第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

190/267
前へ
/2550ページ
次へ
誤解なのにちゃっかり褒められイイ気分になっている時だった。 ワクテカ全開の若い声が、ちらりほらりと耳に聞こえた。 この声は(かける)君? 『あ、まただ。また【弥生さん】だ、』 ん? んー、ん? なぜココで弥生さんの名前が……? なんだろ、胸騒ぎがするんだけど。 『どうした、翔』 杉野さんが問いかけた。 それに対して(かける)君は、 『空から文字が降ってくるだろ? キレイだなぁって視てたらさ、コレ文章になってるんだよね。落ちた順に読んでると【先代好き】とか【瀬山さん好き】とか【大福好き】とか、誰々が好きってのが多いんだ』 そうなの!? と杉野さん以外にも、男達が喰い付いた。 逆に僕は青ざめる。 ヤバ……僕の心が駄々洩れになってる予感。 『他にもあったよ、【社長好き】とか【ジャッキーさん好き】とか【キーマンさん好き】とか……あ、そうそう、さっき俺らのコトも好きって降ってきた! 照れるな、俺も岡村大好きだ! でさ、好き好き言ってる中でも【弥生さん】って人のは他の人よりたくさんあって、【弥生さんカワイイ】とか【弥生さん優しい】とか【弥生さん大好、』 だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 駄目だぁ! それ以上喋らないでぇぇぇ! 僕は鬼の形相で(かける)君にダイブをし、その口を塞がせていただいた。 『フガフガ……! ひゃにすんだお!(ナニすんだよ)』 「いいから黙って! 声に出して読まないで! お願いだからーっ!」 し、しくじった……! これはきっと、さっきのイメージが原因だ。 ____好きなコト、好きなモノ、好きなヒト、したいコト、願うコト、ぜーんぶ文字に!  と、念じまくったじゃない! その結果がコレだ! 僕の中の好きの気持ちを盛大に、空から降らせてしまってるんだ! 恥ずかしー!
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加