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『お前達、準備は良いか?』
ポニテのいぶし銀、中村さんが輪になるみんなに最終確認をする。
頭から蛇を生やした最終形態。
霊体は無くて、顔だけがそこにある。
頭を貫く薙刀は、地中深くに突き刺さり、まるで姿は晒し首だ。
僕ら全員で突き付けた武器、その数は28。
ギチギチに重なり合って、隙間もなくて、逃げ道なんてどこにもない。
万が一、長が自爆覚悟で来ようとしても、この体勢さえ崩さなければ、先に撃つのは僕らの方だ。
絶対負けない、なんてったって”日本で一番の霊能軍団”と、新人霊媒師の僕が(なんかおまけみないだな)取り囲んでいるのだから。
『いつでもいいぜ』
『やっとだな』
『今までに喰われた奴らも、これで救われる』
それぞれがそれぞれに返事をした。
長の嘘に騙されかけた僕も「準備OKです」と答える。
結局、皆で揃ってトドメを刺すことにしたんだ。
今まで受けた理不尽も暴力も強制も、今まで感じた悲しみも辛さも絶望も、最後の一撃に混ぜ込んで浄化させようと決めた。
滅した後は、せーのでみんなで笑おうとも約束した。
そしてその後は……僕がみんなを解放するんだ。
僕はその時、うまく出来るだろうか。
心は込められる、これはダイジョブ、自信があるよ。
お疲れさまでした__うん、きっと言える。
ありがとうございました__これも、言える。
でも、泣いてしまうだろうな。
この霊達は、沢山の事を教えてくれた。
特に中村さん、生前は新人霊媒師の教官だもの。
駆け出しの僕にあれやこれやと教えてくれた。
さっきだってそうだ。
長の嘘を分かっていながら、【悪霊に付け込まれたらどうなるかを今学べ】と、あえて僕の好きにさせようとした。
あれは……僕のこれからを心配してくれたからだ。
現場で困らないように、怪我をしないように、命を落とさないように。
そしてもうひとつの理由も教えてくれた。
____岡村に何かを教えれば、
____岡村がそれを生かしてくれたら、
____我々の魂は消えて尚、
____お前の中で生き続ける、
____そんな気がするんだよ、
そう言われると、そうかもしれないなぁと思う。
魂が消えてもさ、僕が覚えている限り、みんなは僕の中に存在するんだ。
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