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「なんでアタシがいるかって? 先代に呼ばれたんだよ。たまたまW県近くの現場に入ってたのが昨日終わってさ。帰ろう思ったら、修行中の事故でエイミーちゃんが倒れたから来てくれないかって頼まれたんだ。ほら、先代も瀬山さんも幽霊だし野郎だろ? 応急措置はしたけど、看病の仕方が分からなかったんだって」
ソファの上にドカッと座り、そう言った弥生さんはケラケラと笑った。
僕はと言えば、小さなベッドに寝かされているのだが……ココ、どこ?
「ココか? 山の近くのビジネスホテルだよ。W県に着いてから、山までタクシーで迎えに行って、その足でホテルに来たんだ。エイミーちゃんを運んだのはタクシーの運ちゃんでさ、”酔っぱらった弟を休ませたい”って言ったら、部屋まで運んでくれたの」
そ、そっか。
弥生さんにも運転手さんにも迷惑かけちゃったね、ごめんね。
「ぜんぜん! とりあえず、大した事なさそうで安心したわ」
事情が分かった所で、僕はベッドの上で半身を起こした。
弥生さんは無理するなと言ったけど、なんとなく落ち着かないし、眩暈もだいぶ治まった。
中を見れば飾りのない四角い部屋で、あるのは弥生さんの座っている小さなソファに小さなテーブル。
窓は一ヶ所、大き目だけど曇っているのか薄暗い。
テレビとかお茶セットとか、余計なモノは一切無い、そんな部屋だった。
「ねぇ、弥生さん」
話しかければ「なんだぁ?」なんてお気楽だ。
その顔がやけに眩しく、話しかけておきながら目線を外してワザとらしい咳をした。
「……や、その、長……、長はどうなったか聞いてる? それからみんなは? 大福はどこにいるのかな、」
弥生さんがどこまで聞いているかは分からない。
だけど僕は霊視が出来ないから、聞いてるかぎりの事でいいから知りたかったんだ。
長を滅する、それはみんなの切願だ。
カウントもあと一つという所で、僕がヘマをしたんだ。
小蛇なんかに噛まれてしまって、一撃を中断させてしまった。
僕なんかは放っておいて、滅してくれてればいいんだけど……
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