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「…………エイミーちゃん、そういう事言うの? ヒドイよ……エイミーちゃんならアタシの辛さ、分かってくれると思ったのに」
恨めしそうに僕を見たあと、弥生さんは顔を伏せグズグズと泣き出した。
その瞬間、僕の心臓が縮み上がった。
「ごめん、違うんだ、僕はいつだって弥生さんの味方だよ、本当に、絶対だ。誤解させたならごめん、責めたんじゃない、ただ、ジャッキーさんもマジョリカさんも弥生さんの事が好きだし、ヤヨちゃんも含めて4人は家族じゃない。愛情に順位なんてつけないし、マジョリカさんが優越感で弥生さんをバカにする事もしないよ、」
しどろもどろで言い訳をする、泣かしたくて言ったんじゃない。
笑ってほしくて、いつもみたいに元気になってほしくて、なのに僕はダメだな、ああ、でもダメだと嘆いてる場合じゃない、泣き止んでもらいたい。
僕は必死だった、弥生さんの方がトークは千倍立つけど、それでもなにか面白い事でも言えば笑ってくれるかな、と、下手なギャグを言ってみたりもした。
「……エイミーちゃん、アリガト、ゴメンネ」
掠れた声がしたのと同時、弥生さんは顔を上げた。
近い距離で目が合って言葉に詰まる。
キレイだなぁと不謹慎にトキメキながら、どうにかこうにか「大丈夫?」と聞いた。
弥生さんはコクリと頷き、意図してなのか、そうでないのか、いや、意図なんかしてるはずはないのだけど、このあとの弥生さんの言葉に僕はコロサレかけたんだ。
「アタシ……エイミーちゃんと一緒になれば良かった。本当はね、知ってるんだよ。エイミーちゃん、アタシの事好きだろ」
…………いつバレた?
隠せてなかったのか?
動揺して黙り込んだ僕は、気持ちを肯定したのとおんなじだ。
それに後から気付いたがもう遅い。
「やっぱりな、そうじゃないかと思ってた。アタシはアタシだけを見てくれる人がいいよ。やっぱり、その方が幸せになれる。エイミーちゃんはアタシだけを見てくれるだろ? ねぇ、アタシと一緒にいて。いてくれるなら、ジャッキーと別れる」
「や……その……えと……んと……」
僕は何を言ってるんだ?
答えになってないじゃないか。
テンパって、頭の中がパチパチ弾けて考えがまとまらない。
さっきから弥生さんは何を言ってるんだろう?
憎からず思ってくれてるって事?
弟とか、友達とか、後輩とか、そういうんじゃなくって事?
本当に……?
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