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「此処はどこなの? リアルじゃないよね」
答えるかはわからない。
でも聞いた、だって此処には長しかいない。
聞く相手が他にいない。
『…………まぁ、長くは騙せぬとは思っていたが、』
あ、一応答えた、でも回答にはなってない。
でも、話をする気はあるみたいだ……って、そうだよ、このお爺さん、お話好きのロングトーカーだったわ。
「見た目は完璧だったよ。でも中身にアンマッチが多々あった。……そうだよな、弥生さんがジャッキーさんとマジョリカさんをキライになるはずがない。もし2人に不満があるなら、直に本人達に言うタイプだ。あの人、笑っちゃうほど単純ドストレートだからね。……クソ、外見が完璧すぎて見抜けなかった。悪霊の嘘を見抜けないとどうなるか……中村さん。僕今、肌で学びました。痛い目見たよ、中身は長なのにガチで愛を囁いちゃったんだもの……ぐは」
デリートしたい負の囁き。
弥生さんだと思っていたのが、実際は皺だらけの顔だけ爺さんだったのかと思うと、自分自身が不憫になる。
だけど同時、希望が湧いた。
此処がどこかはさておいて、僕の中ではたくさんの感情が溢れてる。
イコール自我があるという事で、何度も言うが魂を喰われていない証拠だ。
長は小蛇で僕を噛み、訳ワカンネ!(弥生さんぽく)なフィールドに引っ張り込んだ。
此処は幻影、嘘の世界。
長の言ってる事はぜんぶデタラメだ。
という事はだ、みんなはまだ存在してる。
きっと山で僕の帰りを待っている。
俄然やる気が湧いてきた。
あとはどうやって此処から出るか、なんだけど……どうすりゃいいんだ?
『岡村よ、お前はこの女を好いているのだろう? だったらなぜすぐに抱かなかった。お前の為にこんな場所を用意したというのに』
ぶはっ!
な、な、な、なに言っちゃってんの!?
そ、そ、そ、そんなコト、出来るはずないじゃない!!
「お、お、長……下品!! そ、そんなコトしないよ! そういうのは、お付き合いして愛を育んで、そうだな……早くて半年後! へ、ヘンなコト言わないでよね!」
しどろもどろで動揺した。
あんな枯れたお爺さんが、こんな事を言い出すなんて思ってもみなかったんだ。
『あ……いや、お前の想像よりもっと手前の意味だ。抱くと言っても抱きしめる程度。……私とてそんな事は御免だ。お前が女の色香に酔って、抱きしめ、唇を吸ったら良かったのだ。さすれば魂を喰らう事が出来たのに』
「えっ! あぁ……そか、そういう意味ね。や、でも、長の唇吸うとか絶対無理! やだ! 僕、奥手で良かった! レンアイチキンで本当に良かった! でなければ今頃魂喰われてた! あっぶなー!」
言いながらどうやってフィードから脱出するか、同時に考えていた。
思えば前に似たような事があった。
ユリちゃんのお母さん、貴子さんの現場の時だ。
僕は1人でフィールドに迷い込み、脱出の手段がわからなくって途方に暮れて、それで……そう、先代が迎えに来てくれたんだ。
その時、先代はこう言っていた。
____霊のフィールドから抜けるには、
____その霊を成仏させるか滅するか、
____それをしないと永遠に出る事は出来ない、
僕は恐る恐る長を視た。
てことは……僕、この人に勝たないと出られない感じ?
マジか……!
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