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◆
……
…………ら、
………………かむ……
………………………………おかむ……
『……村っ!! 岡村っ!! 目ぇ開けろってぇ!! 岡村ぁっ!!』
泣き叫ぶ少年が僕を呼んでいる……
幼さが微かに残るこの声は……
「か……ける……?」
意識が朦朧とする……
僕は……長のフィールドから出る為に、瀬山さんが造ってくれた百色華の道を先代と2人で歩いてたんだ。
花を視ながらしばらく歩いて、それでさっき……花が風に煽られて、虹の花びらがあたり一面、吹雪みたいになって、キレイだなぁって先代と言い合って____
『あっ!! 岡村が目ぇ開けた! 意識が戻ったぁ!!』
『うんなーーーーーーーーー!!』
薄まった意識が緩やかに戻る。
ゆっくり目を開けると、そこに百色華は無く、代わり、顔をグシャグシャにした翔君と愛しの猫又が僕を覗き込んでいた。
「……翔君……大福……ココは山……? 僕……戻ってきた……?」
地面に背中をつけたまま、僕がそう独り言ちると、
『『『『岡村ーーーーーーーーーーっ!!!』』』』』』』』』』____
大音量の野太い声がこれでもかと僕に向かって降ってきて、あっという間に視界は男達の泣き顔で埋め尽くされた。
『良かった……! このまま還って来ないのかと気を揉んだぞ!』
『えぇっとーーーー! はい! 良かった! はい! はいぃぃぃ!』
『大丈夫か!? どっか痛いとかないか!?』
『心配で心配で死ぬかと思ったぜ! もう死んでるけどさ!』
あはは、みんな良い大人なのに泣いちゃってるよ。
やだな、大袈裟、まったく、本当にさ、参っちゃう、ああ、そんなに泣いて、ああもう……みんなごめんね……ありがとう。
「ごめん、僕ヘマしちゃった」
言いながら身体を起こそうとすると、たくさんの手がササッと伸びて、僕を支えてくれたんだ。
どの手も大きくゴツゴツしてて、そして氷のように冷たい。
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