第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

222/267
前へ
/2550ページ
次へ
◆ …… …………ら、 ………………かむ…… ………………………………おかむ…… 『……村っ!! 岡村っ!! 目ぇ開けろってぇ!! 岡村ぁっ!!』 泣き叫ぶ少年が僕を呼んでいる…… 幼さが微かに残るこの声は…… 「か……ける……?」 意識が朦朧とする…… 僕は……(おさ)のフィールドから出る為に、瀬山さんが造ってくれた百色華(ひゃくしょくか)の道を先代と2人で歩いてたんだ。 花を視ながらしばらく歩いて、それでさっき……花が風に煽られて、虹の花びらがあたり一面、吹雪みたいになって、キレイだなぁって先代と言い合って____ 『あっ!! 岡村が目ぇ開けた! 意識が戻ったぁ!!』 『うんなーーーーーーーーー!!』 薄まった意識が緩やかに戻る。 ゆっくり目を開けると、そこに百色華(ひゃくしょくか)は無く、代わり、顔をグシャグシャにした(かける)君と愛しの猫又が僕を覗き込んでいた。 「……(かける)君……大福……ココは山……? 僕……戻ってきた……?」 地面に背中をつけたまま、僕がそう独り言ちると、 『『『『岡村ーーーーーーーーーーっ!!!』』』』』』』』』』____ 大音量の野太い声がこれでもかと僕に向かって降ってきて、あっという間に視界は男達の泣き顔で埋め尽くされた。 『良かった……! このまま還って来ないのかと気を揉んだぞ!』 『えぇっとーーーー! はい! 良かった! はい! はいぃぃぃ!』 『大丈夫か!? どっか痛いとかないか!?』 『心配で心配で死ぬかと思ったぜ! もう死んでるけどさ!』 あはは、みんな良い大人なのに泣いちゃってるよ。 やだな、大袈裟、まったく、本当にさ、参っちゃう、ああ、そんなに泣いて、ああもう……みんなごめんね……ありがとう。 「ごめん、僕ヘマしちゃった」 言いながら身体を起こそうとすると、たくさんの手がササッと伸びて、僕を支えてくれたんだ。 どの手も大きくゴツゴツしてて、そして氷のように冷たい。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加