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長が泣いている?
いやまさか……僕は半信半疑だった。
頭の中でユルユルと疑問符が滑る中、少し遅れて別の考えが浮かび上がる。
もしかして……意識が戻ったのか?
そう思った途端、緊張が走った。
僕と大上さんは目を合わせ、黙ったままで長を視た。
手のひらがジトっと湿気り、僕はそれをシャツで拭う。
大上さんもおんなじなのか、銃のグリップを強く握り直していた。
……
…………
………………
だが、長は依然として動く気配はなかった。
目は固く閉じられて、視たはずの滲む水も今は無く、その跡すら視当たらない。
「……意識が戻った訳じゃ……なさそうだよね」
長から目は離さずにそう言うと、
『……だな。つーかさ、長……さっき泣いてなかったか?』
大上さんは訝し気に長を覗く。
「ん……僕もね、そうかなって思ったんだ。でもどうだろう? 目に水っぽいのが滲んでただけだし、今はない。そもそも……この霊って泣くのかな? 大上さんは、今まで長が泣いたの視た事ある?」
『ねぇよ! 長は怒ってるか、やーな感じで笑ってるかのどっちかだ。泣くなんてあり得ねぇ。ん……やっぱ、俺らの視間違いかな』
大上さんはそう言ったし、僕もそうかなって思うけど、でも、でもさ、2人揃って視間違うって中々ないよ。
ほんの少しではあったけど、やっぱり長は泣いてたのかな。
だとしたら……なんでだろう?
今頃は瀬山さんと話をしているはずなんだ。
もしかして、その影響なのかな?
真実はわからない。
長本人か、瀬山さんに聞かなければわからない。
気にはなるけど、それを聞いていいかもわからない。
それからすぐの事だった。
慌てたような先代の大声が聞こえてきたんだ。
『ショウちゃん!』
その声に翔君と大福がムニャムニャと目を覚ます。
そして僕と大上さん、それから散り散りだった他のみんなも一斉に、声の方向に目をやった。
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