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『____5、』
本当にこれが最後だ。
『____4、』
瀬山さんと先代は、僕らのすぐ後ろにいる。
2人は手を出さない。
最後まで視守ってくれるんだ、……ああでも、瀬山さんは大丈夫かな、視てて辛くないのかな、それがとても心配だ。
『____3、』
《うぁぁ……》
あ……まただ、また長が呻き出した。
意識はないはずなんだけど……もしかしたら夢うつつなのかな、
朧げに、何かを思い出してるのかな、
それは一体なんだろう?
少し……気になるけど、
だけどもう、それを確かめる術はない、
『____2、』
あ…………まただ、
長の目、
固く閉じた皺の目から薄っすら水が滲んでる……
あれは涙か……?
それとも……目の錯覚か?
涙とは言い切れないごくごく少量、
僕にはなんとも判断がつかない、
『____1、』
《…………れた……》
……ん?
長……何か言ってる……?
聞こえるか聞こえないかの微かな声だ、
まさかまた油断させて小蛇で噛む気か……?
いや……それはもうないだろう、
あのお爺さんにそんな霊力は残ってない、
放っておいても消えそうだもの……
じゃあ夢を視てるのか……?
寝言……みたいなものなのか……?
《…………れた……まれ……わた……の》
”まれ” ?
”わた……の” ?
何を言ってるんだ……?
そもそも……意味のある言葉かどうかも分からない、
ただ単に”音”を発してるだけかもしれない、
僕は気にするのをやめようとした、
集中しなくちゃ、カウント0で霊力を発する、
それで長を滅するんだ……そう思っていたのに、
聞こえてしまった、あれは単なる”音”じゃなかったんだ、
《…………うま……れた……しょうじ……わた……わたしの……むすこ……》
え……?
《……わた……の……だいじ……な……むす……こ》
あ、と思った。
長は夢の中で80年前に戻ってるんだと、
瀬山さんが生まれた日に戻ってるんだと、
そう思った、
同時、
『____0、』
中村さんのカウント0で、一斉に霊力が放たれた。
男達の真ん中で、霊力のすべてを受けた長は、ザラザラと砂が零れて流れるように形を崩すと、この世とあの世のその両方から、姿を、存在を消した。
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