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____1、僕の手でみんなを滅する、
____2、僕は滅さない、その代わり【闇の道】がみんなを捕らえる、
ああ……最悪の二択だな。
どっちも嫌だと感情が泣き叫ぶ。
駄々をこね、どうにかしてよと暴れてる。
暴れたってダメだよ……だってさ、二択と言いつつ選択肢は決まってるんだ。
僕が滅するしかないんだよ、そうじゃないとみんなが苦しむ。
心の中で自分で自分を説得した。
僕だって嫌だけど、第三の選択肢はない。
だったらさ、腹を括るしかないじゃないか。
ここまで頭で分かっているのに僕の感情は強情だった。
ダメだな……このままじゃ集中出来ない、まともに霊力が使えない、霊矢の印が結べない。
なんとか心を落ち着かせる為、僕は固く目を閉じた。
腹式呼吸で息を吸い、そしてゆっくりそれを吐く。
そうだ、暫くこうしていれば落ち着いてくれるはず……いや、落ち着いてもらわないと困るんだけど。
……
…………
………………
閉じた目には何も映らず視界は真っ暗。
今の僕は広がる闇にホッとする。
なんとなくのイメージなのか、僕はその闇に立っているような感覚に陥った。
嫌な感じはしない。
たとえるなら……自分の部屋にいるみたいな感じだ。
月のない夜中にさ、カーテンを閉め切って、光はないけど不安じゃない、むしろ心地が良いような、そんな感じ…………なんだけど、……なんだろ?
少し先に光るナニカが視えたんだ。
目を閉じているはずなのに、瞼の裏にソレが映る。
床……? でいいのかな、少し先の床の上。
そこには指先くらいの大きさの、光る珠がたくさん転がっていた。
あれはなんだろう?
薄ぼんやりと光を放ち、キレイだけどどこか悲しい。
僕は引き寄せられるように近付いた……その時、
____こないでよ、
頭の中に声がした。
え……? なに……? どういう事……? おかしいよ……だってこの声、
____みんなの事が嫌いなの?
声は光る珠の辺りから聞こえてくる。
拗ねたような、恨めしそうな、半泣きに震えるこの声……僕の声に似てないか……?
____ヤダ、滅したくないよ、
間違いない……やっぱりこれは僕の声だよ。
高くもなければ低くもない。
平凡すぎる僕の声は、滅する事を拒否してる、嫌だ嫌だと駄々をこねてる。
なんだこれ……一人二役、自問自答をした事はあるけれど、今はしてない。
____なんでだよ、もっと悪い霊は他にもいるのに、
____みんなはもう悪霊じゃないじゃない、
____やっと長から解放されて、
____やっと自由になれたのに、
____それなのに滅するの?
____納得がいかないよ、
____可哀そうだよ、そんなのヤダよ……!
僕じゃない僕の声は、僕が言えなかったすべての事を言葉にしていた。
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