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光る珠の薄明りに照らされて、僕じゃない僕の声……その姿が浮かび上がる。
そこには鏡でよく見る顔があった。
あれは……【僕】だ。
今の僕とおんなじ恰好、お下がりのジャージ上下にTシャツ姿でへたり込む。
どういう事なの……?
とりあえず……聞いてみるか、
「…………あのさ、キミは……僕なの?」
____そうだよ、
【僕】はそう答えた。
目の前の【僕】の口は声に合わせて動いているのに音はしない。
声は頭の中に直接入ってくる。
「…………こんな所でなにしてるの? てかココどこ?」
____ココ? ココは僕の中だよ、
恨めしそうな顔をして【僕】は僕をジッと視ていた。
”僕の中”って……よくわからないけど、僕のココロの中ってやつなのかな……?
「光る珠がいっぱいあるね、それはなに? もしかして、瀬山さんと僕と大福の霊力?」
____チガウよ、分からないの? これは真珠だよ。前に先代から教えて貰っただろう?
真珠……? 先代……? ああ……そういう事か……耐えきれない程の辛さやストレスに晒された時、希少の子はその辛さを霊力で包む。
霊力の膜が幾重にも重なって、”辛さ”を保護して丸めて、真珠に似たモノになると言っていた。
それが……あれなんだ。
____こんなモノが出来るくらい辛いのに、なんでみんなを滅そうとするの?
「…………だって……仕方ないじゃないか。僕が滅さなければ【闇の道】がやってくる。キミだって視ただろう? みんなを……あんなのに乗せる訳にはいかないよ」
____そうだけど、分かってるけど、でも嫌だ……! みんなで長を滅したよ、長はもういない、未来に起こるはずの惨事をみんなが食い止めたんだ! なのにさ、どうしてそこは評価されないの!?
「評価……されるべきだと思うよ。でもさ、過去の被害者達はどう思うかな……? みんなのせいで怪我をした人がたくさんいるんだ。その人達から見れば、みんなはやっぱり悪霊だよ」
言いながら改めて思う。
みんなはさ、僕にとって大切な仲間だ。
だけど被害者からすれば違うんだ。
その罪を【闇の道】は決して許さないだろう。
____なんだよ……なんでだよ……そんな正論、誰でも言えるよ……!
なんで味方になってあげないの? 長を滅するの、簡単じゃなかったよ、みんな頑張ったじゃない、キミは一緒に戦ってすぐ傍で視てたのに、今のみんなが悪霊じゃないって誰よりも知ってるのに……!
「……うん、そうだね……誰よりも知ってるよ。でも過去は変えられない、」
____変えられないって……それも知ってる! でもキーマンさんが言ってた、過去は変えられないけど未来は変えられるって! ねぇどうにかならないの?
どうにかしたいよ、どうにかしようよ!
目の前の【僕】は大声を上げると蹲って床を叩き始めた。
バカみたいに泣きながら駄々をこね、どうにかならないのかと喚き散らしている。
僕がさっきしたいと思った事だ。
普段の僕なら絶対にしない事。
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