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こんな所に……人?
火球の墜落直後に突如現れた人物。
生者なの? 死者なの? 一般人? それとも霊力者? ……正体がわからない。
まずは観察してみるか、と。
ザワつくみんなの隙間から、目測10メートルの先を視た。
そこに立ってる後ろ姿の謎の人。
筋肉質で身体が大きい、けど……女性……か?
まず目についたのは髪の毛だ。
腰……いやオシリまであるだろうか。
長い髪は真っすぐで、そのまま下に垂らしてる。
特に変わった髪型ではない……が、色が凄かった。
その髪色は赤だった。
赤毛といっても茶色じゃない、本当に赤なのだ。
炎のような、血のような、熟した艶のリンゴのような。
染めてるのかな……あの色……V系バンド方面の方……かな……?
それにしては服が違う、V系じゃない、カジュアル系だ(そもそもV系さんがココにくるとは思えないけど)。
シンプルな深い緑のカーゴパンツ、同じ色のベルトを締めて、その上は……な゛ーーーーーーっ!
ちょうどその時、彼女は肩をグルグル動かしながら僕らの方を向いたんだ。
や! ちょ! なにあれーっ!
彼女はハイネックのタンクトップを着ていた。
黒色の、身体にフィットしすぎな1枚。
何を着たって個人の自由、タンクトップでも良いけどさ。
でもアレは駄目だ……何が駄目だって、それはその……アレだよ。
タンクトップの前面胸元、そこに大きな穴が開いていた。
破けてるのとは違うみたいで穴はキレイなハート型。
きっとデザインなのだろう。
でもさ、それにより胸元が見えて……見えて……めちゃくちゃ見えて、胸の谷m、ア゛ーーーーッ! (実物前だと口にするのも恥ずかしい)
ちょっとぉぉぉぉ!
谷は見せちゃ駄目でしょぉぉぉぉぉ!!
目のやり場に困る、すこぶる困る。
あの服を着てるのが男性なら良いんだ、でも女性じゃない!
なんで? なんだってそんなん着るの? 照れたりしないの?
てか服屋さんでそれ見て「おっ! これいいじゃん!」ってなったの?(ま、なったから買ったんだろうけど)
もう無理。
僕は”草が主食のレンアイチキン”、自慢じゃないが女性に対して免疫が薄い。
ホント無理、顔とかまともに見られない。
かと言って胸元はもっと無理。
その辺を避けながら、見れるトコだけ見てみると……腕、スゴイな。
剥き出しの二の腕は遠目であっても、硬そうな筋肉が見てとれた。
肩から腕にかけてゴツゴツのガチガチで、僕よりぜんぜん逞しい。
てかそれよりも。
あの人って死者かな、生者かな。
僕の目には両方同じに映るから、パッと視だけじゃわからない。(そもそもまともに見れない、カーゴパンツはなんとか見れる)
一般の生者の方が山に来るとは思えないけど、霊媒師なら分からない。
長の噂を聞きつけて、滅しに来た生者かもしれないのだ。
みんなの後ろから。
僕は両手を湾曲させて、霊力を溜めて前を視た。
距離はあるけど今の僕なら余裕で届く。
えいや!
霊矢とは違う、単純な霊力の線は女性に向かって飛び伸びた。
『イッテ!!』
わっ! 喋った!
僕の電気は女性の腕にグサッと刺さると、赤い線が2人の間を繋ぎ結ぶ。
と……いうコトは、彼女は死者だ、そか、死者か。
分かった所で電気の線を切り離そうとした時だった。
筋骨隆々V系さんが(名前も正体もわからないからとりあえず仮名)、二の腕から電気の線を乱暴に引き抜いた……って、えぇ!?
今まで何度も放電したけど、このパターンは初めてだ!
V系さんは”チッ!”と舌打ち、
『痛えじゃねぇか! にーちゃん! アンタ、アタシに喧嘩売ってるのか? いいぜ、買ってやるよ!』
と怒声を上げた。
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