第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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話し終えた沈黙に、僕はなんだか落ち着かなかった。 トモさんは怒っているかな、一方的に喋った僕に呆れてるかもしれない。 まともに視れば胸元が気になっちゃうから、僕はトモさんの口元ばっかり視てたんだ。 ツヤツヤした赤い色、唇の両端が上を向いた。 『ははっ! にーちゃん熱いねぇ! そっか、”悪霊”じゃなくて”元悪霊”か。モッチー達も言ってたよ、『今は良い子になった』って。疑って悪かった、本当だったんだな。だってさ、にーちゃんの目がマジだし、すっげー必死だったし。それにソッチのアンタら。アタシの挑発に乗らないのな。『脅されたからだ』とか『仕方なかった』とか言わねぇし』 さっきの圧はなんだったんだ? そう言いたくなるくらい。 トモさんはガハハと笑ってノリが軽い。 ギャップにちょっとビックリするけど、分かってくれて嬉しくなった。 てか先代達、トモさんにみんなの事話してたんだな。 いつの間に? ……あ、もしかして、途中でいなくなった時か? 僕がそれを聞いてみるとアッサリ肯定された。 『特にジョージがな。オヤジに脅されただけで根は悪霊じゃないって力説してよ。でもなぁ、情報部の調査書読んだら、それ差し引いても被害者の数が膨大で、ホントは悪霊じゃねぇの? って疑ったんだ。そしたら『じゃあ証拠を視せるから』って____腰抜かすかと思ったわ。だってよ、ジョージは現世に百色華(ひゃくしょくか)を咲かせたんだぜ? この花は黄泉でしか咲けないはずなのにさ』 手ぶり身振りのオーバーアクション。 トモさんは楽し気な声でそう言った。 僕は花の下りが気になっちゃって質問タイム。 「百色華(ひゃくしょくか)が現世に咲くってそんなにスゴイ事なんですか?」 『そりゃそうだ! 黄泉の国にあるモノは、花でもなんでも電気で構築されてるんだ。黄泉なら電気がそこいらじゅうに溢れているけど、現世じゃそこまで電気はない。じゃあココに咲く花の電気はどこから調達したんだよってなるだろう? コレ、全部ジョージの霊力(ちから)だ。この量で、しかも時間で色を変える構築式を完全再現してやがる。フツーは出来ない、無理にやったら霊力(ちから)が尽きて倒れちまうわ』 「マジか……やっぱ瀬山さんレジェンドだわ、パネェっすわ。……ん? でもなんでそれが証拠になるの?」 頭に疑問符、質問アゲイン。
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