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『ったく、コレだから素人は、』
とかなんとかブツブツ言ってるトモさんに、先代達は肩を震わせ笑ってる。
慣れたもんだな、この霊、いつもこんな感じなの?
てか何を持って”素人”なのか。
手ぶり身振りのオーバーアクション、迫力があって、口が悪くて、それでいて言ってる事は割と正しい(てか、霊媒師になってから高確率で口の悪いヒトに出会うよ)。
そういや息子さんがいると言ってたな。
どんなヒトだろ……あ、いや、きっとこんなヒトなんだろな。
『とにかくな、謝りに行け。一人一人直接謝罪に行くんだよ。アンタらなら視付けられんだろ? なんたって揃いも揃って霊媒師だ。霊視で探し出せばいい。まさか、”霊視が出来ませーん”なんて言い出さないだろうな。ミエミエな嘘はつくなよ? 霊視が出来ない霊媒師がいたらツラを拝みたいわ』
あぅ……ちょ、みんな、そんな顔で僕を視ないで、チラチラ視るとかもヤメテ、どうせなら突っ込んで、笑い飛ばしてくれぇ、……ぐは。
みんなはザワついていた。
衝撃を受けた顔で(ガガーン!的な)一斉に喋り出す。
『た、確かに! 悪い事をしたら謝るべきだ』
『当たり前の事なのにな、まったく頭に浮かばなかった』
『えぇっとー、森木もです、はい。思いつきませんでした』
『だけどさ、俺達幽霊だし大丈夫かな。視えないんじゃないのか?』
『それは心配ない。相手に霊力がなければ”非常用チャンネル”を使えばいい。要は夢枕に立つんだ』
『被害者……何人くらいいるだろう。全員をまわったら数年単位でかかるかもしれん』
『だがお嬢さんの言う通りだ、謝りに行くか、』
『そうだな。ならば計画を立てよう。なんてったって数が多い。闇雲じゃあ駄目だ』
あ……みんなの表情が変わった。
目的が出来たというか、悲痛なだけの暗い瞳に力が宿り始めてる。
いいなぁ、こういう雰囲気、嬉しいなぁ。
トモさん、まさかこうなる事を予想してたのかな……?
「トモさん、……あの、ありがとうございます」
僕が言うのも変かもだけど、お礼を言わずにはいられなかった。
トモさんは『んー?』と僕に振り返る。
『なにがアリガトなんだ? アタシは何にもしてねぇよ。悪い事をしたらキチンと謝れ、当たり前の事を言っただけだわ。にーちゃんもそう言われて育っただろう?』
「はい、言われました。母だけじゃなく父にも。そういえばトモさんには息子さんがいらっしゃるんですか?」
みんなは丸く輪になって謝罪計画を立て始めた。
その間、チャンスとばかりの質問タイム(3ターン目)。
『ああいるよ。これがまたクソ可愛いんだ』
「あはは、クソ可愛いって。なんだか愛情を感じるなぁ。息子さんはおいくつですか? ご健在です?」
聞いて良かったかな、言った後で少しドキドキ。
トモさんって視た目は若くて20代の前半だ。
でも死者の容姿は実年齢と直結しない。
実はすっごいお年を召されて、息子さんもこの世の人じゃないかもしれない。
なのにこんな聞き方、悪かったかな?
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